2025.02.17

LIFESTYLE

キューバのアート・フェスティバルでも話題になった「葉巻リボンのアート」

都内のシガー・バーに飾られた幾何学模様のアートピース。実はこの作品、葉巻を束ねるリボンの断片から作られたもので……。

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2022年にキューバで開催された第14回ハバナ・ビエンナーレ。この中南米最大のアート・フェスティバルで、ある日本人アーティストの作品が話題を呼んでいた。 3m以上の高さがあるその作品は、キューバ産の葉巻を束ねるリボンを素材にして作られたもの。現在はハバナにあるウィフレド・ラム現代美術センターに所蔵されているという。



「本日、ご覧いただいているのは、私がハバナ・ビエンナーレから帰国後、最初に制作した作品です。キューバでは生まれや育ち、思想も違う多くの人たちと知り合うことができ、沢山の学びがありました。その感動を言語化する前に表現してみたんです」



港区にあるシガー・バーのラウンジに飾られた作品の前で、こう解説してくれたのは池田健さん。黄金色に輝く作品は、木材を多用した空間に自然と溶け込んでいたが、近づいて見ると、数えきれないほどの葉巻のリボンの断片が幾何学模様のデザインを形作っており、随所に打ち込まれた太鼓鋲が立体感を生み出している。まさにほかでは見ることのできない"シガー・アート"とでも呼ぶべき作品なのだ。



「私の作品は、規則性の中に不規則性が含まれていたり、逆に不規則に見えるものの中に規則性が潜んでいたりします。それは我々が生きている、この世界そのものの姿を表したものでもあります」

実は池田さんの伯父とその奥様はパッチワーク作家として有名な野原三輝さんと野原チャックさん。伯父のパッチワーク・コレクションの中に、葉巻のリボンで作られた約200年前の作品があり、池田さんはその作品の持つ幾何学的な美しさや、素材の光沢感に心惹かれていたという。

「今は自分で会社を経営しながら作品制作を行っています。葉巻のリボンを使った作品を作り始めたのは2018年から。キューバ産葉巻の総代理店に、廃棄しているリボンを譲っていただけないかと相談したところ、快く承諾していただいたんです。世界のどこを探しても、私ほどキューバ産葉巻のリボンを保有している人はいないでしょうね(笑)」

国内外のアートコレクターからも注目される池田さんの"シガー・アート"。葉巻がもたらす優雅な時間に身を委ねながら、その奥に秘められた世界観を楽しんでみたくなる作品だ。

文=永野正雄(本誌) 写真=田村浩章

(ENGINE 2025年2・3月号)

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