2025.02.23

CARS

このまま死んでもいいと思うほどの幸福感 モータージャーナリストの清水和夫がサーキットで新しいGT3をテスト GT3ツーリングパッケージの写真も公開

ポルシェ911GT3の2024年第4世代の後期型(992・2)が発表され、国際試乗会はスペインのバレンシア郊外のサーキットで開催された。

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前期型RSを追走する

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サーキットはいつものようにプロ・ドライバーが先導するコンボイ走行だ。先導車は992型前期のGT3RSである。後期のGT3がどんなに進化しても、RSには敵わない。前を走るGT3RSは巨大なリヤウイングを備え、タイヤもミシュランのカップ2Rを履く。ずるい! と思うが、このGT3RSとのカーチェイスも楽しみだ。



前期型のGT3RSはシルバーストーンでテストしたことがあったが、200km/h近いスピードでターンする超高速S字カーブがあり、強烈なダウンフォースがRSの走りを支えていた。だが、バレンシアならそこまでダウンフォースが作用しないので、最新のジオメトリーでファインチューンされた後期型GT3のシャシー性能なら、勝負になるかもしれない。



コクピットに乗り込む前の儀式として、タイヤに手を触れ、温度や減り具合を確認。綺麗に減ったフロント・タイヤを見ると、フロント・サスペンションの良い仕事ぶりが理解できる。エンジンはスタート・ボタンではなく新しく備わっているロータリーキーで火を入れる。

排ガス規制をクリアするために4リッターフラット6の最大トルクは前期型に比べ、20Nmダウンの450Nmとなったが、レブリミット9000rpmの至福感はそのままである。

後期型は最高出力は510psと同じだが、排ガス対応でトルクは450Nmにダウンされている。重量も多少重くなっている。しかし、ポルシェは後期型のギア比を8%ローギアードに変更し、実際の加速性能では前期と同じ0-100km/h加速3.4秒(PDK)を達成した。ニュルブルクリンクのラップタイムは非公開だが、7分を切ることができるだろう。

トルクを補うためにファイナルギア比が8%引き下げられた。サーキットを走るグリーンの個体は6段MTのバイザッハ・パッケージ。

スペックからわかるように加速性能は前期と同じパフォーマンスだが、サーキットではサスペンションのジオメトリーをアンチダイブ(フロント)にしたことで、速さを増している。ノーズダイブが減ったことで、ターンイン・ブレーキではリヤの安定性が増しているからだ。



バレンシア・サーキットは旋回中に強いブレーキが必要なコーナーが多いので、アンチダイブの効果は十分に試すことができた。ステアリングを切りこみながらブレーキングしても、リヤはしっかりと安定している。ステアリングはカミソリのように切れるし、エンジンはどこまでも回り、加速Gと音の共演でアドレナリンが吹き出す。気持ちいいなんてものではなく、このまま死んでもいいと思うほどの幸福感だった。



結果的に中速コーナーでは十分に前期型GT3RSを追尾することができた。もちろん先導のプロ・ドライバーは70%くらいで走っていると思うが、こちらもあまり多くの汗をかかずに冷静にドライブできた。コクピットから降り、十分に温まったタイヤに触れると、前期型GT3RSとの数分感のバトル・ドラマが思い出された。

最後のGT3と噂されるので、すでに行列ができているという。私も並んでみたい気持ちになった。

文=清水和夫 写真=ポルシェジャパン

■ポルシェ911GT3
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4570×1852×1279mm
ホイールベース 2457mm
車両重量 空車重量1479kg(7段PDK)
エンジン 直噴水平対向6気筒DOHC
排気量 3996cc
最高出力 510ps/8500rpm
最大トルク 450Nm/6300rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 255/35ZR20 315/30ZR21
車両本体価格 2814万円

(ENGINE2025年4月号)

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