2025.02.24

CARS

なんと、マイクロバスは固有名詞だった!? コースターの前身であるトヨペット・マイクロバスを初体験

2025年2月22日と23日の2日間に亘って開催されたノスタルジック2デイズ2025。「ノスタルジックヒーロー」をはじめとするヒストリック・カー雑誌などを発行する出版社、芸文社が主催し、今年で16回目を迎える旧車を中心とした展示イベントである。ヒストリック・カーのモーターショーと言ってもいいかもしれない。

2台の興味深いクルマを展示

そのノスタルジック2デイズの神奈川トヨタ自動車ブースに展示されていた、「トヨペット・マイクロバス」と「トヨタ・ハイメディック」の2台はなかなか興味深いモデルであった。



モデリスタを統括する会社の前身

最初に紹介するマイクロバスはトヨペット整備という会社が作ったモデルだ。トヨペット整備はのちにトヨタテクノクラフトに社名を変更し、2018年にジェータックスとトヨタモデリスタインターナショナルと統合し、トヨタのカスタマイズ・ブランド、「モデリスタ」を統括する会社として知られるトヨタカスタマイジング&ディベロップメントとなる。

クルマの紹介に入る前に「マイクロバス」という名称についてちょっと説明。今では一般名称として使われている「マイクロバス」だが、じつはトヨペット整備の作業部長であった宮崎利定氏が名付けたもので、当初は今回紹介するトヨペット・マイクロバスの商品名であった。このようなことは歴史のなかでときどき起きることで、たとえば、一般的に使われている「プラモデル」という名称がじつはマルサン商店の登録商標だった。それと似たようなケースである。



初代は1957年に登場

このマイクロバスを製造したトヨペット整備は、中古車の再生や架装を行う会社として1954年に設立されたが、1956年には再生車製造よりも新型車のボディ製造に力を入れる経営方針に変更。翌1957年に「トヨタ・ダイナ」の前身となるトラックである「トヨペット・ルートトラック」のシャシーにバス・ボディを架装してマイクロバスI型といわれるミニ・バスの製造を開始する。このミニ・バスは1961年にはモデルチェンジが行われ、II型となっている。

今回展示されていたモデルはII型で、1962年に製造されたモデル。I型のエンジンはR型と呼ばれる1.5リッター直4で、II型のシリーズ途中となる1962年に1.9リッターの3R型に変更されている。エンジンの説明するパネルには4気筒直列頭上弁式と記されていた。頭上弁式とは聞きなれない言葉だが、OHVを日本語表記したものだ。展示車は3R型エンジンを搭載。現在のトヨタのマイクロバスである「コースター」が2.8リッターのしかもディーゼル・ターボであることから想像すれば、かなり非力なものであっただろう。



物置として使用されていた

現車が発見されたのは2014年3月。神奈川県横浜市のとある民家で物置として使用されていた。長年、放置されていたため、状態は悪かったという。それでもシャシー(車台)を復元し、それにフロアやサイド、フロント、リヤの骨格を組み上げた。外板はリベットで取り付けられている。もともとは幼児送迎用バスと使われていたが、標準仕様に戻すためリア・ドア部分がない仕様としたほか、シートも標準タイプが復元された。

ヘッドライトは同じサイズの規格品を取り付けることができたが、フォグランプは合うサイズが見つからなかった。いろいろと探したところ、オートバイの「ホンダ・モンキー」のヘッドライトが同寸であることが判明。社外品として販売されていたモンキーの黄色ヘッドライトをフォグランプとして装着したという。

現在は未登録だが、今後、エンジンとブレーキを整備すれば、ナンバーを取得し、公道を走らせることも夢ではないという。



初代ハイメディック

2台目に紹介するのは救急車だ。この救急車は1992年に登場した初代トヨタ・ハイメディックで、当時の「トヨタ・ハイエース」をベースにした高規格救急車である。高規格救急車は救急救命が行える装備を備え、救急救命士が乗車する救急車のこと。装備により車両総重量は重くなるため、高いエンジン性能が求められた。

そこでトヨタはハイエース・スーパーロングをベースに、当時の初代セルシオなどに搭載していた1UZ-FE型の4リッターV8エンジンを搭載したモデルを試作。エンジンのみを換装したハイエースは、かなりじゃじゃ馬でハンドリングも悪かったという。そこでトレッドを広げるために、ワイド・ボディにして安定性を確保した。高規格救急車は、機材の搭載や救命活動のために広いスペースも必要なため、トレッドそしてボディの拡大は理にかなったものであった。



セルシオと同じV8は220ps

ボディの全長×全幅×全高=5345×1810×2490mmで、全長と全幅は現行型「トヨタ・ハイラックス」と同程度で、全高は現行ハイエースのハイルーフよりもさらに100mmほど高くなっている。V8エンジンの最高出力は220psで、セルシオなどに比べると低めに設定されているが、救急車であることを考えれば大パワーであることにはかわりない。

ハイメディックは1997年にフルモデルチェンジし2代目に移行、その後、2006年にフルモデルチェンジして現行型ハイエースをベースにした3代目へと移行している。ちなみに、3代目のエンジンは2.7リッター直4ガソリンだ。



文=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement