『ノスタルジックヒーロー』をはじめとするヒストリック・カー雑誌などを発行する出版社、芸文社が主催する旧車を中心とした展示イベント、ノスタルジック2デイズ2025。2025年2月22日と23日の2日間に亘って開催された今回で16回目を数えるヒストリック・カーのモーターショーと言っていいイベントだ。
台数と注目度が一番高い日本車を中心に数多くの旧車が展示されているノスタルジック2デイズの中で、台数と注目度が一番高いのが日産スカイラインである。今回は数あるスカイラインの展示車の中から、6代目以降のモデルを、画像集とともに紹介する。
大人気刑事ドラマの劇中車を再現クルマの楽しみ方にはいろいろな方向性がある。それはヒストリック・カーでも同じこと。オリジナル性を重視し、ネジ1本までフル・ノーマルにこだわる方もいれば、微妙にノーマルとは異なるもののノーマルのよさを生かすリフレッシュ・チューニングを施す方、なかには機関類をそっくり交換しEVにコンバージョンしてしまう方などもいる。
そうしたクルマの楽しみ方のひとつに、映画やテレビドラマで使われた劇中車のレプリカ・モデルを作る方も多い。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「デロリアン」、『マッドマックス』の「インターセプター」、人気TVドラマの『ナイトライダー』の「ナイト2000」など海外でも人気のレプリカ・モデルが存在する。
そしてスカイラインといえば、DR30型6代目をベースとした大人気刑事ドラマ、『西部警察』で使われた劇中車のレプリカが人気だ。ノスタルジック2デイズにはこのレプリカ・モデルが3台展示された。さらに、このドラマで劇中車の使い手としても登場していた石原良純氏が来場し、ステージにてトークショーを行った。
セカンド・ジェネレーションGT-R前夜に現れたヒーロー1989年にセカンド・ジェネレーションGT-Rのベースモデルとなる8代目スカイラインR32型が登場する。その前のモデルである7代目R31型は紆余曲折した世代だった。
直列6気筒エンジンは2代目に初めて搭載されて以来、スカイラインの象徴のひとつとなっていた。その軸となるのはSOHCのL型。DOHCはハコスカとケンメリに設定されていたファースト・ジェネレーションGT-RのS20型のみで、1981年登場のR30型6代目スカイラインでDOHCエンジンが復活するものの、これは4気筒であった。
直6DOHCエンジンが復活そして1985年、ついに7代目スカイランで直列6気筒DOHCエンジンが復活する。しかし、L型に代わるDOHC仕様を持つRB20系を搭載する7代目は当初、上級志向でラグジュアリーなコンセプトを前面に押し出していたため、せっかくの直列6気筒DOHCのパフォーマンスをアピールしてこなかった。そうしたなか、マイナーチェンジによって転機が訪れる。
1987年のマイナーチェンジでR31型はスポーティ志向に大きく舵を切る。その象徴的なモデルが「GTS-R」だ。当時人気を博していたツーリングカー・レースの主流であった「グループA」のホモロゲーションを獲得するために800台が限定生産されたGTS-Rは、DOHCターボであるRB20DETにチューニングが施されたRB20DET-Rを搭載。
また、エクステリアでは「GTS」で採用されていたGTオートスポイラーと呼ばれる可動式のチン・スポイラーを固定化するなどされた。ちなみに。このスポイラーの固定化は「可動式空力付加物は禁止」というレース・レギュレーションに合わせたものだ。そして禁止のきっかけとなったのは1968年の日本グランプリに出場し怪鳥と呼ばれたレーシング・カー、「日産R381」に採用された左右2分割のリア・ウイング、「エアロスタビライザー」がきっかけだったのだから、なんとも運命的である。

文=諸星陽一
(ENGINE WEBオリジナル)