2025.03.11

CARS

「これは“走る大英博物館”だ!」モーガン・プラス・フォーに乗った自動車評論家の小沢コージはこう叫んだ

モーガン・プラス・フォー/0-100km /h加速は5.2秒、最高速は240km /hに達する。車両本体価格=1668万7000円。

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今年もやりました2025年版「エンジン・ガイシャ大試乗会」。大磯プリンスホテルの大駐車場に集めた注目の総勢33台の輸入車にモータージャーナリスト33人が試乗! 世界の自動車業界が大変革期の真っ只中にある今、各メーカーがこの上半期にイチオシするそれぞれのニューモデルに5人のジャーナリストが試乗。計165本の2025年注目輸入車の試乗記を順次公開。

その1台目としてお送りするのは、英国のバックヤードビルダー魂を今なお持ち続けるモーガンだ。試乗したのは小沢コージさん、金子浩久さん、桂伸一さん、飯田裕子さん、石井昌道さんの5人。今回はまず小沢さん、金子さん、桂さんのモーガン・プラス・フォーの「ここがスゴイ」リポートをお届けする。

モーガン・プラス・フォー/読み方こそ古の“プラス4”と同じ“プラス・フォー”ではあるけれど、スペルが異なる。両者の中身はまったく別で、いわばモーガン自身によるリ・クリエイション・モデルといえる。

「究極の達人向け」小沢コージ

クルマは基本道具であり、かつ走りや良質を買う嗜好品。だがあえて快適を嫌い苦労を買う禅寺修行が如きクルマがある。“走る大英博物館”たるモーガンだ。

創業1909年と100年以上も前で、今も変わらず戦前テイストのクルマを手作りし続ける激レア・ブランド。年間生産たった850台でトヨタやVWはもちろん、フェラーリやマクラーレンともビジネスモデルが全く違う。

中でもプラス4は元々1950年生まれの“走るシーラカンス”だったが、約5年前に名がプラス・フォーとなり一気にモダン化。鉄フレームに木板張りのボディはアルミ・シャシーに、板バネ・サスは4輪ダブル・ウィッシュボーン、エンジンもBMW製直4になり、「もしも今の技術で戦前オープンを作ったら」というコントも驚くモデルになった。

結果見た目は古めかしいが、乗ると予想以上にボディがしっかりしていてエンジンも回る。だがステアリングは鈍く、道の継ぎ目で跳ね、風の巻き込みは修行さながら。クルマ古典主義をトコトン愛する究極の達人向けである。

グリルの仕立てや色からはじまり、内外装についてはとにかくこと細かくカスタマイズが可能なのは今も昔も同じ。上位のプラス・シックスは8段ATのみで、シフトノブ周囲に近代のBMW色が感じられるが、プラス・フォーで選択できる6段MT仕様はさにあらず。なお2025年中にはプラス・シックスに代わる新たな旗艦モデルが発表されるという。

「スポーツカーの醍醐味」金子浩久

試乗会の協賛企業KeePer技研株式会社のS取締役とプラス・フォーに同乗。仕事柄あらゆるクルマに触れてきたがモーガンには乗ったことがないとのことからのご希望だ。僕も久しぶり。

メカ構成などは変わっていないが、ヘッドライトのLED化やテールに付けられていたスペア・タイヤがなくなっているところなど、現代化も進んでいる。眼の前のメーターのデジタル化やボタン式エンジン始動などもアップデート。基本を守りながらもモダナイズも怠らない。

「ずい分と低いところに座って走っているんですね」

西湘バイパスで速度を上げると着座位置の低さが如実に感じられてくる。今まで平滑だと思っていた路面も、プラス・フォーで走ると凹凸をすべて拾い上げてくる。風切り音も大きい。それでも不快にも苦痛にも感じないのがスポーツカーの醍醐味なのだろう。

「きれいな色の組み合わせですね」

ボディの水色と幌の紺が調和している。クルマの美しさを保つプロならではの着眼点に感心させられた。

BMW製の2リッター直列4気筒ターボ・ユニットは最高出力258ps/5500rpm、最大トルク350Nm/1000-5000rpmを発揮し、試乗車の6段MT(ないしは8段AT)を介して後輪を駆動する。

「しなりがある!」桂伸一

EPC会員さんと乗り込み、マニアックな「ルパン3世」に登場のモーガンの話題で盛り上がる。

本誌初代編集長スズキさんが所有する木製モーガンに試乗したのが個人的にモーガンの初体験。木製の“しなり”が走りにほのぼのとした空気を造るのだが、現行のモーガンにもしなり味が移行されているから驚く。欧州メーカーには、走りの「味付け技師」が居るというが、それを改めて実体験する。

せっかくのオープン・ボディだからそのまま行くか? 日差しは強いが午後になって風は冷たく、山に向かうコースでは冷える事必至。なのでふたりしてソフト・トップを閉じてファスナーを留めたところで、流れの速い西湘バイパスに合流する。

実はモーガン、車重はほぼ1tの1013kg。BMW製2リッター 4気筒ターボは258ps/350Nmを発生。6段MTで6700rpmまで引っ張れば、その軽快で伸びのある加速と、どのギアからでも即加速態勢に入れる俊敏さはロータスもかくや。スタイルは往年だが、走りは現代なので舐めたらアカン。

0-100km /h加速は5.2秒、最高速は240km /hに達する。
モーガン・プラス・フォー
読み方こそ古の“プラス4”と同じ“プラス・フォー”ではあるけれど、スペルが異なる。両者の中身はまったく別で、いわばモーガン自身によるリ・クリエイション・モデルといえる。BMW製の2リッター直列4気筒ターボ・ユニットは最高出力258ps/5500rpm、最大トルク350Nm/1000-5000rpmを発揮し、試乗車の6段MT(ないしは8段AT)を介して後輪を駆動する。0-100km /h加速は5.2秒、最高速は240km /hに達する。全長×全幅×全高=3800×1650×1220mm。ホイールベース=2495mm。車両乾燥重量=1013kg。車両本体価格=1668万7000円。

写真=小林俊樹(メイン、リア)/山本佳吾(サブ)

(ENGINE2025年4月号)

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