2025.03.14

CARS

凄まじい迫力のデザイン! ついに上陸したキャデラック初の電気自動車、リリックに試乗!!

キャデラック初の電気自動車、キャデラック・リリック600E4に試乗!

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ラグジュアリーEVのスタンダードを目指すというキャデラック初の電気自動車、リリックの気になる走りはいかに。エンジン編集部のムラヤマがリポートする。

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想像していたより小さい!

キャデラック、もといアメ車と聞けば、私は超大型の車体に大排気量エンジンを搭載した、いかにも広大な大地の果てまで走り続けそうなグランドツアラーの姿が頭に浮かぶ。結論から言えば、満を持して日本上陸を果たしたキャデラック初のEV“リリック”は、内燃機関こそ持たないけれど、風貌の存在感や走りの味付けは、そんなアメ車のイメージにぴったりなクルマだと思った。



写真は袖ケ浦で開かれたサーキット試乗会のものだが、私の今回の試乗の舞台は一般公道。都内某所で車を受け取った時の第一印象は「写真で想像していたより小さい!」だった。漆黒の塗色の視覚効果で引き締まって見えたのも確かだけれど、実際に全長×全幅は4995×1985mmで、全長5m×全幅2mを超える大型ラグジュアリーSUVも多いなかでは、控えめな大きさだという見方もできるかもしれない。



それでも、リリックから凄まじい迫力を感じるのはデザインの妙だ。ワイド感を強調するフロントとリアの意匠に加えて、全長のギリギリ目一杯まで広げられた3085mmの超ロング・ホイールベースを持つサイド・プロポーションや、大型SUVとしては低めの全高も、リリックが独特の存在感を放つ理由なのだろう。

運転席正面から前席中央まで、一繋がりに形成されているフル液晶の33インチ大型湾曲ディスプレイを持つインパネは、1967年型キャデラック・エルドラードをオマージュしてデザインしたのだという。

大きなドアを開けて運転席に乗り込むと、目に飛び込む景色は一面、良いモノ感に溢れている。視界に入る、または手で触れる部分は隅々までステッチ入りのレザーと艶消しのシルバー素材で構成されている。試乗車にはルーフのほとんど前端から後端まで広がる巨大なガラス・サンルーフが装備されていて、開放感も素晴らしい。身長170cmの筆者には持て余すほど大きな前席シートは、肉厚な座面を持ち、ふかふかな掛け心地は快適そのものだ。

前席のシートはヒーター、ベンチレーターに加えてマッサージ機能まで備わる。

リリックはEV専用車でありながら、基本的な使い勝手は従来のクルマから乗り換えても全く違和感がない。これまで通りブレーキ・ペダルを踏みながらスタート・スイッチを押してシステムを起動。ステアリング・コラムに備わるシフト・セレクターをDに動かせば、準備完了だ。

クルージングしたくなる

リリックの走りの味付けは全体的にゆったりとしていて、良好な乗り心地である。強い加減速を試したり、速い操舵の入力をしたりすると、ピッチングやローリングは大きく出る。スポーティなSUVが多数を占める今ではむしろ新鮮に感じるほど、脚がたっぷりとストロークするのだ。



ステアリング操作に対する前輪の切れ込み方もスローだ。狭い交差点で右左折をするシーンでは、こんなにステアリング・ホイールを回したことはあっただろうか、と思ったほど(入力に対する反応はリニアで、最大切れ角も十分にある)。

だから、いざとなれば522ps・610Nmの強烈なダッシュを見せつけられるリリックだけれど、どちらかといえば自然とのんびりクルージングしたくなるタイプのクルマだ。この強力なパフォーマンスは、いつでもアクセレレーターにわずかな力を込めるだけで、自由自在の加速ができるという心の余裕のためにあるのだと思う。まるで大排気量のクルーザーに乗っているような気分で、いかにもアメ車的なのである。



それでは、何がリリック特有の魅力なのかと言えば、BEV専用車として開発されたからこそ成し得た操縦安定性にある。リリックの脚は柔らかく、ストロークが大きいけれど、曲率が複雑に変化する高速のJCTやワインディングをペース良く走っても、不安感がまるで無い。試しに大きな動きを出そうと操作しても、4つの脚はがっちりと地面を掴み、微塵も離れようとしないのだ。バッテリーをフロアに敷き詰め、低重心化が図られている恩恵なのだろう。



ハンドリングの良さも特筆モノだ。前輪も駆動しているとは到底信じられない素直な操舵フィールに驚かされた。電気モーターならではの緻密なトルク・ベクタリングが働いているに違いない。モーター恐るべしだ。

唯一残念だったのは、スピーカーが内蔵されたヘッドレストに、私の頭はほとんど届かなかったこと。全19スピーカーのサラウンド音響をフルに味わうためにはあと数cm足りなかったけれど、このサイズ感まで含めて、やっぱりアメ車的だと思った。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=GM ジャパン

■キャデラック・リリック・スポーツ
駆動方式 前後2モーター式全輪駆動
全長×全幅×全高 4995×1985×1640mm
ホイールベース 3085mm
車両重量 2650kg
モーター型式 交流同期モーター
バッテリー容量 95.7kWh
一充電走行距離 510km
最高出力(前/後/総合) 231ps/328ps/522ps
最大トルク(前/後/総合) 309Nm/415Nm/610Nm
トランスミッション 1段固定式
サスペンション(前) マルチリンク/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク
タイヤサイズ(前後) 275/45R21
車両本体価格(税込) 1100万円

(ENGINEWEBオリジナル)

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