2025.04.16

CARS

バック・トゥ・ザ・フューチャーでお馴染みのデロリアンも彼の作品だった ジュジャーロ氏が手掛けた作品を写真で楽しむ

世界的カーデザイナーのジョルジェット・ジュジャーロ氏が初日と2日目に登場し、トークショーを行った今年のオートモビル・カウンシル。氏の来日を記念して行われたテーマ展示、「Designed by Giorgetto Giugiaro」では、ジュジャーロ氏がデザインした10車種が展示された。今回は後篇として、残りの5台を紹介する。

ランチア・デルタ(1979年デビュー)

アッソ・シリーズのひとつ、「Asso di Picche」(アッソ・ディ・ピッケ、スペードのエース)は「アウディ80」をベースに制作されたが、それが進化して市販車となったのが初代「ランチア・デルタ」である。よく考察すれば直線で構成されたボディ・ラインはアウディ80との共通性も見てとれる。デルタはごく普通に使われるCセグメントのハッチバックとして登場。つまり「フォルクスワーゲン・ゴルフ」のような存在であったが、のちにラリーで活躍する「デルタ・インテグラーレHF」と進化する。そのインテグラーレHFもジュジャーロ氏の手によってデザインされたモデルだ。



フィアット・パンダ(1980年デビュー)

もともとコンパクトカー(そのなかでもとくに小さなモデル)を得意としていたフィアットが、さまざまな世界情勢の波にもまれ苦労していた1980年代初頭に、ブレークスルーを狙って開発に取り組んだのが「パンダ」であった。フィアットはイタルデザインに対し、「126」のエンジンを流用すること、コスト、重量という3つをまもってくれれば、あとはすべて自由に設計していいと依頼した。画して生まれたがパンダであった。自由な発想で生まれたパンダは多くのユーザーに愛され大ヒット・モデルとなった。



DMCデロリアン(1981年デビュー)

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でタイムマシンに改造されるスポーツカーとしてあまりにも有名な「DMCデロリアン」もジュジャーロ氏のデザインによるものだ。DMCとはデロリアン・モーター・カンパニーのことで、DMCが製造したモデルはデロリアンのみである。DMCはアメリカの企業、ボディを担当したイタルデザインはイタリア、シャシーはイギリスのロータス、エンジンはフランス系のプジョー・シトロエンという混成チームによるモデルである。ステンレスむき出しのボディは印象的であり、デザインワークは高く評価されているが、シャシーやエンジンの評価はあまり高くないのが残念な部分である。



イタルデザイン・アズテック(1988年デビュー)

1988年のトリノショーで登場した市販予定モデル。最大の特徴は左右のキャビンが独立した構造となっていること。日本人でイタルデザインの共同設立者だった宮川秀之氏が社長を務めたトリノのコンパクト社がこのモデルの独占販売権を取得し、50台を製造して日本で販売する予定だったが、開発に時間が掛かっているうちにバブル景気が終焉を迎え、計画は終了してしまったという。



バンディーニ・ドーラ(2020年デビュー)

バンディーニ社は1946年に創業したイタリアのスポーツカー・メーカー。1992年にいちど活動を取りやめるが、現在はジュジャーロ父子が経営するGFGデザイン社と手を組んで「ドーラ」を生産することを目指している。ドーラは2020年のジュネーブ・モーターショーでデビューする予定であったが、コロナ禍でショー自体が中止となり、オンラインのみでの発表となった。そのため、今回のオートモビル・カウンシルが事実上のワールドプレミアとなった。駆動系にツインモーターを採用するEVであり。その総出力は536psで、0-100km/h加速は約3.3秒を実現しているという。



文・写真=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)

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