2025.04.20

CARS

車名は「三菱・三菱」!? 変速機に8段スーパーシフトを備えた三菱とレディは1980年代の実用セダン

今年で記念すべき10回目の開催となったオートモビル・カウンシル。旧車を軸に、クルマ趣味にまつわる多くのものが展示される、モーターショーの枠を超えたモーターショーである。メーカーや主催者のテーマ展示とともに人気を集めているのが、展示だけでなく販売も行っている旧車のスペシャル・ショップだ。そのなかから今回は、「三菱トレディア」を紹介する。

コレなら買えるかも

「このトレディアよりも戦前のブガッティのほうが日本における登録台数が多いだろうな……」。

DUPRO(デュプロ)がオートモビル・カウンシル2025で披露した1982年式「三菱トレディア」を見た瞬間に脳裏に浮かんだのは、そのようなことだった。会場での税込車両販売価格は180万円。3億円というプライスボードを掲げていた1957年式「メルセデス・ベンツ300SL」の横を通過した直後にトレディアを取材したので、思わずコレなら買えるかも? と思ってしまった。



国内累計販売台数は約4万2000台

車両説明プレートに英字で8 Speed“SUPER SHIFT”と書いてあり、これまでほぼ輸入車の取材ばかりで生計を立ててきたので、なんのこっちゃ分からず、スタッフに質問してみたらマニュアル・トランスミッションの4段×副変速機の2段=8段であることを教えてくださった。、内外装ともフルオリジ家に帰って検索してみたら、副変速機を用いることでパワーとエコノミーという2つのモードに切り替えられるのだという。

検索ついでにいろいろ調べてみたら、トレディアはデビューした1982年の販売台数が1万5500台強で、これではマズイと思ってフェイスリフトや排気量アップを実施したら逆に約1万2500台まで減少。その後も販売台数が少なくなり、1988年に生産中止となるまでの国内累計販売台数が約4万2000台だったそうだ。



リア・フェンダーがステキ

トレディアという車名は、イタリア語で「3」を意味する「トレ」とダイヤモンドの英字表記であるDIAMONDの「DIA」(ディア)を合体させた造語で、日本語にすると三菱ということになるのだと思う。「三菱・三菱」という車名は「フェラーリ・エンツォ・フェラーリ」に匹敵する、それ以上は存在しないものなので、三菱の本気がそこに表れていた。がしかし、結果的に販売台数が大惨敗だったので、トレディア開発陣は相当落ち込んだに違いない。

8段スーパーシフトのことを知らなかった筆者(1971年生まれ)は、小学生の頃に新車販売直後のトレディアと遭遇していたのかもしれないが、まったく憶えていない。そのため、少なくとも記憶のなかでは今回が初見となったが、リア・フェンダーのデザインがステキで、ボディ・カラーもよかったので、なんとなくフランス車っぽいな、と考えていた。

現車のエンジンは排気量が1410cc、最高出力が82psで、キャブレター仕様の前輪駆動車なので、おそらく走りのフィーリングも往年のフランス車のようなのだと思う。8段スーパーシフトを上手く使いこなせる自信がないが、もはや誰も乗っていないはずなので、これで取材に行ったらヒーローになれるのかもしれない。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement