2025.04.17

CARS

初代マツダ・ルーチェもジュジャーロの作品だった そのほか、多数のコンセプトカーを展示

記念すべき10回目の開催を迎えたオートモビル・カウンシルのうち、マツダは実に9回の出展を行っている。「日本に自動車文化を育みたい」というオートモビル・カウンシルの主旨に共感するメーカーと言っていいだろう。今年のマツダは、「MAZDA DESIGN STORY “心を揺さぶる、モノづくりへの追求”」という出展テーマを掲げ、5台の車両をブースに並べた。

初代ルーチェのプロトタイプ「S8P」/1962年

1962年にイタリアのベルトーネ社へデザイン監修を委託し、若き日のジョルジェット・ジュジャーロ氏が手掛けたモデルが初代「ルーチェ」のプロトタイプである「S8P」だ。ルーチェには400cc×2のロータリー・エンジンを搭載する予定であったが、エンジンの開発が間に合わずに、レシプロ・エンジンが搭載された。S8Pのヘッドライトが角形(じつは角形カバーのなかに丸目4灯が仕込まれている)なのに対し、初代ルーチェのヘッドライトは丸目4灯だったなど、デザインの上で異なる点は多いものの、じっくり観察していくとルーチェはなるほどS8Pから発展したモデルであることが理解できる。



ユーノス500/1992年~

マツダがかつて展開していた5チャンネル体制のなかのひとつであるユーノス店専売車として開発された4ドア・セダン。プラットフォームはCAと呼ばれるもので、なんと「ユーノス500」専用であった。この時代のマツダは専用プラットフォームを有するモデルが多く存在している。設定されたパワートレインは、1.8リッター直列4気筒、2リッターV型6気筒、そして同じく1.8リッターのV型6気筒エンジンである。当時小排気量V6エンジンが流行しており、三菱も1.6リッターV6エンジンを開発し、ミラージュなどに搭載していたことがある。ユーノス・ブランドの消滅とほぼ同時期にユーノス500も販売を終了した。今でもそのデザインの美しさには定評がある。



マツダ先駆/2005年

「先駆」(せんく)は大人のための4シーター・ロータリー・スポーツをテーマとしたコンセプトカー。4人乗りロータリーといえば「RX-8」を思い浮かべるが、RX-8は2003年にすでにデビューしており、先駆からの発展ではない。当時のリリースをひもとくと、「時代が強く求める環境や安全への配慮や、少子高齢化などの社会構造やそれに伴う価値観の変化に対応しながら、Zoom-Zoomな走りという独自の価値をこれからも提供していくとのマツダの決意を実現するスタディの一端である」と記述されていた。社会の変化を読みつつも走りを犠牲にしないマツダらしさを追い求める姿勢が読み取れる。



マツダ魁コンセプト/2017年

「魁」(かい)コンセプトは2017年に開催された第45回東京モーターショーにてワールドプレミアされたコンセプト・モデル。当時の資料には、「魁コンセプトは、マツダの次世代商品群の先駆けとなるコンパクト・ハッチバックのコンセプトです。次世代ガソリンエンジン”SKYACTIV-X“(スカイアクティブ・エックス)、次世代車両構造技術“SKYACTIV-Vehicle Architecture”(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)と深化した魂動デザインを採用、マツダが目指す次世代のクルマづくりを体現したモデルです」と記載されている。今、このモデルをみればマツダ3の雛型であることは明白で、コンセプト・モデルのデザインのまま市販化された数少ない例のひとつであることがわかる。今回マツダ・ブースを取材した際、初代アテンザのデザイナーである小泉巌氏と話す機会があり、「映り込みの美しさはユーノス500もマツダ魁コンセプトも同じ流れのなかにある」との話をうかがい、なるほどと納得した次第であった。



マツダ VISION COUPE/2017年

「VISION COUPE」(ビジョン・クーペ)も魁(かい)コンセプト同様に2017年の第45回東京モーターショーでワールドプレミアされたコンセプト・モデル。クーペの名前が付いているが、リア・ドアも備える4ドアである。次世代デザインが目指す、「エレガントで上質なスタイル」とされており、そのワイド&ローのフォルムと伸びやかなサイドスタイルは誰が見ても納得の美しさを備えている。



文・写真=諸星陽一

(ENGINE WEBオリジナル)
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