2025年3月、KINTOが契約者向けイベント「KINTO presentsカートチェレンジ2025」を富士スピードウェイのカートコースで開催した。トヨタ車などのサブスク事業を展開するKINTOが開催する契約者イベントとはどんなものなのだろうか。新車サブスク「KINTO ONE」の元契約者でもある編集部・村山が参加者に混じって取材した。

朝8時半。富士スピードウェイのカートコースに到着するとすでにたくさんの参加者が集まっていた。この日に集まったのはKINTO契約者の38組79名で、2倍以上の応募から抽選で選ばれた幸運な人たちだ。
参加者が乗ってきたクルマのナンバープレートを見ると、関東圏が中心ではあるものの、西日本方面も少なくない。2023年12月に新東京サーキットで初開催した「カートチャレンジ」は今年でこれが2回目。「モビリティキャンプ」などに並んで人気イベントの一つなのだという。
KINTO担当者に話を聞くと、これらのイベントは「これからの趣味になるようなクルマならではの移動の機会を提供し、クルマを通じた楽しい思い出づくりや体験を届けていきたい」という思いで企画・開催しているそうだ。“クルマを届けるだけにはしたくない”というKINTOの狙いが伝わってくる。見渡してみると、確かにお子様連れのご家族や友達同士の参加者が多く、イベントをきっかけにした契約者間の交流も生まれているのだとか。
(デモラン中の中山選手)カートチャレンジの目玉は、参加者同士で結成するチーム対抗戦の60分耐久レースだ。チーム分けは個人別のフリー走行兼タイムアタックを参考に行われる。まずはゲストのTGRドライバーの中山雄一選手によるデモランから。中山選手は35秒を切る人はほとんどいないというコースとマシンで、33秒744秒を軽々とマーク。私も初めてのコースを探りながら7周を走り、ベストは36秒914だった。
2つのグループに分かれて行うフリー走行の待ち時間には、富士スピードウェイ西ゲート横に位置する「ウェルカムセンター」と「ルーキーレーシングガレージ」のガイド・ツアーに参加。

ウェルカムセンター内に並ぶのは、トヨタ社内でニュルブルクリンク訓練車両として活用されたトヨタ・スープラ(80型)や、豊田章男氏こと、モリゾウ選手が2007年にニュルブルクリンク24時間耐久レースへ初参戦した際にTeam GAZOOが使用したアルテッツァ、2023年全日本ラリー選手権で勝田範彦選手が参戦したGRヤリス・ラリー2など。目の前に並ぶ車両の数々に参加者はみな興味津々の様子(展示車両は時期により入れ替えあり)。

とりわけ私の気分がアガったのはルーキーレーシングガレージの見学だ。今回特別に立ち入りが許された整備エリアには、メンテナンス中のスーパーフォーミュラ参戦車両などの姿があった。
また、スーパーGTマシンのボンネットを特別に持ち上げることができた参加者からは「えっ、こんなに軽いの!」と驚きの声が。


昼食を挟み、午後はいよいよこの日の目玉の耐久レースである。午前中のタイムアタックの結果をもとに、6〜7人のチームが12チーム結成された。1時間の耐久レースは6チームずつ2つのクラスに分けられ、まずは初心者を中心としたルーキークラスからスタート。


各クラス1時間ずつ、2回のレースが行われる……予定だった。しかし、ルーキークラスの途中から雨粒が。気温も下がり、次第に強まった雨はにみぞれに変化。

コース上にも大きな水たまりや川ができたことから、後半のチャンピオンクラスのレースは、残念ながらやむなく中止になってしまった。私のチームは出走しないまま、多少の心残りはありつつ、この日はお開きとなった。

それでも、非日常のクルマ体験に参加者からは喜びの声が多数集まっている。「初めてのカート体験を楽しむことができた」「プロの中山選手のデモ走行がカッコよかった」「素晴らしい体験ができました」「次回もぜひ参加したい!」(一部抜粋)。
天候を除けば、おおむねKINTOの狙いは達成された一日といえるだろう。イベントはプログラム途中で中止になったけれど、それでも満足げな参加者の表情が印象的だった。
文・写真=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=KINTO