2025.04.28

CARS

アウディのフォー・リングスを使わない、地域限定ブランド“AUDI”が本格始動 第一弾モデルのE5スポーツバック登場

2024年秋に発表されたAUDI Eコンセプトのデザインを踏襲。

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アウディが、上海モーターショー2025に先駆けて開催されたメディア向けイベントで、新型EVの「E5スポーツバック」を公開した。中国専売となる大文字の“AUDI”を冠した初の市販モデルだ。

新たなアプローチ

車体サイズは4881×1959×1478mmで、全長と全高は新型A5アバントに近いが、全幅は100mmほどワイド。ボディは、ダイナミックに張り出した前後フェンダーが目を引くスポーツワゴン的だが、アウディではファストバックと称する。



実際、長く見えるルーフ・ラインのスロープした後端付近はルーフ・スポイラーのような造形で、その下には旧A5やA7のスポーツバックのような、寝かせたリア・ウインドウとテール・ゲートを備える。プレス・ラインを排し面の抑揚で構成するボディ・パネルとともに、従来のアウディにはあまり見られなかったアプローチだ。



新たなアプローチは、フロントにも見られる。センターには見慣れた4つのリングではなく、ブランド名である4つの大文字アルファベットの“AUDI”が鎮座。

このロゴと、スリムなヘッドライトは黒く細いループに組み込まれ、中洲のように設置されたボディ同色パネルは、グリルのようなメッシュ状に光るイルミネーションで縁取られる。ノーズ上面には、先端からの走行風をボンネット上へ導くダクトが設けられた。

テール・ライトまわりは、フロントに似たテーマを採用。“AUDI”ロゴと細いライト、イルミネーションで取り囲んだパネルを配置する。リア・エンドには、上海汽車との合弁である上汽奥迪のロゴも見られる。



ベースとなるのは、上海汽車と共同開発したアドバンスト・デジタライズド・プラットフォーム。後輪駆動と4WDを用意し、パワートレインは299ps/408ps/578ps/787psの4種類。0-100km/h加速は、最速3.4秒だ。

バッテリー容量は最大100kWhで、航続距離は最大770km。800Vシステムの採用で、急速充電は10分で370km走行分をチャージできる。

シャシーには、連続減衰コントロールを備えたアダプティブ・エア・サスペンションと、プログレッシブ4WSを採用。スムースで洗練された乗り心地をもたらす。



インテリアは、水平基調の要素をレイヤーしたシンプルなデザインで、車内幅いっぱいに広がる27インチの4Kディスプレイが目を引く。その両端は、デジタル・ミラーのモニターだ。センター・コンソールには、冷却機能付きの50Wワイヤレス充電器を内蔵し、同時に2台の携帯電話を置くことができる。



ドア・トリムにはウッドと間接照明を組み合わせ、スマートなデザインながら高級感を演出。露出していない送風口には、3種類が選べるフレグランスのディフューザーを組み込んだ。“AUDI”ロゴの入るシートは、ヘッドレスト・スピーカーやアンビエント・ライトを装備する。

ADASは、中国の道路事情を考慮したセッティング。ライダーのほか、3つのロング・レンジ・ミリ波レーダーや12の超音波センサー、11のカメラなど29ものセンサー類を装備し、デリバリーの三輪車が走り回る北京の細い路地のような場面にも対応する。



E5スポーツバックの発売は2025年夏で、2026年と2027年には“AUDI”ブランドでさらに2台のBEVを市場に投入すると言う。それ自体は中国専売モデルだが、ここで示された新たな技術やデザイン要素が、グローバル・モデルのアウディにどのような影響を及ぼすのか、興味深いところだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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