2025.07.15

CARS

免許取得時と同じ90%合格へ、10月1日から厳格化される外免切替で外国人ドライバーの違反や事故は減少するのか

外国人ドライバーが簡単に運転免許証を取得できる制度が厳しくなる

全ての画像を見る
簡単すぎると話題になった外免切替が2025年10月1日から厳格化される。これまで70%以上で合格となっていた「知識確認」(いわゆる学科試験)は、問題数を50問にまで増やし、90%以上の正答率で合格となる。その他にも、現行制度から厳格化される部分はいくつもある。では、10月1日から外免切替の審査はどのように変わるのだろうか。

外免切替の手続きが2025年(令和7年)10月1日から厳格化される

2025年7月11日に警察庁が告示した“道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する意見の募集について”では、外免切替手続きの見直し案が提出されている。この外免切替に関する意見公募(パブリックコメント)は、7月11日〜8月9日まで受け付けている。



パブリックコメントのページに添付されている資料によると、外免切替の手続きを厳格化する背景について、次の3点が挙げられている。

・「骨太方針2025」等において、「外免切替手続について住所確認や知識・技能確認の審査内容を厳格化」が求められている
・基本的な交通ルールを理解していない外免切替により免許を取得した外国人による交通事故が発生
・海外では免許取得時に一定の居住・在留が求められている中、日本では当該要件がなく、観光客等が免許を取得

このような背景から外免切替の見直し案が提出された。なお、厳格化された外免切替制度は、2025年(令和7年)10月1日に施行される。

現行の外免切替手続きと見直し(案)後の違いとは?

外免切替手続きの厳格化によって何がどのように変わるのだろうか。ここでは、現行の手続きと見直し案の手続きの違いを紹介する。

住所の確認について

【現行手続き】
・住民票がある場合:住民票の写し
・住民票がない場合:旅券と一時滞在証明
※3カ月以下の短期滞在は住民票が交付されない
・免許更新時:運転免許証

【見直し案の手続き】
・免許申請時:申請者の国籍にかかわらず住民票の写しの添付を求める(例外的な場合を除く)→観光等の短期滞在の在留資格の者は免許を取得できない
※例外的に、国外転出中の日本人は「戸籍謄本等」、外交官・モータースポー
ツイベントで一時的に来日する外国人レーサー等は「権限ある機関が発行する
身分を証明する書類(外交または公用の在留資格が表示されている上陸許可の証印をされた書類や在留資格認定証明書など)」を添付することにより免許の取得が可能
・免許更新時:外国人については、在留カード、特別永住者証明書、住民
票の写しまたは上記※の書類の提示を求める


審査(知識確認および技能確認)について

【現行手続き】
・知識確認:運転に必要な知識の確認(イラスト問題を10問出題、70%以上の正答率で合格)
・技能確認:運転に必要な技能の確認(場内における実車による確認、70%以上で合格)

【見直し案の手続き】
・知識確認:イラスト問題を廃止して、問題数を50問に増加させ、正答率90%以上(新規免許取得時と同じ基準)に引き上げ
※基本的な交通ルールを十分に理解しているかを確認するよう厳格化する
・技能確認:横断歩道の通過等の課題を追加するとともに、合図不履行や右左折方法違反等の採点を厳格化(新規免許取得時と同様の基準にする)

新制度の内容はすべての免許更新者に適用してもよいかもしれない

外免切替手続きの見直しによって、外国人が運転免許証を取得するハードルは上がったといえる。ただ、実際に外国人運転者による交通事故や交通違反が減少するかどうかは、見直し案が施行されてからでなければわからない。

指定自動車教習所で運転指導をしていた経験を持つ筆者は、外免切替手続きの見直し案を見たとき、学科および技能の審査は、外国人運転者だけでなく、日本国内で運転免許を取得した運転者が更新する際にも活用したほうがよいのではないかと思った。

その理由は、外国人運転者による交通事故や交通違反だけでなく、日本国内で運転免許を取得した日本人ドライバーによる交通事故や交通違反も増えているためだ。



日々運転していると、執拗に車間距離を詰めてきたり無理な進路変更や割り込みなどをするドライバーをよく見かける。また、筆者自身も執拗に車間距離を詰められたり、急に進路変更されて急ブレーキをかけざるを得ない状況になったりすることもある。約5年前(2020年)に、あおり運転(妨害運転)の厳罰化がされたが、今でもあおり運転をする運転者が多くいるのが実情だ。

さらに、合図不履行(合図すべき場所で合図しない)や右左折方法違反(法律に定められている方法に従って右左折しない)、無灯火(夜間や視界が悪いときなどに前照灯や尾灯などを点灯しない)、減光等義務違反(対向車や前方車両がいる場面でヘッドライトをロービームにしない)などの交通違反もよく見かける。



これら基本的なことは、運転免許を取得する際に学んでいることだ。安全運転および基本ルールの見直しのためにも、運転の更新をするときは講習だけでなく、学科および技能の審査を取り入れた方がよいのではないだろうか。

文=齊藤優太(ENGINE編集部)

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement