シチズンが誇る技術と高品質、そして独特の美意識が時計の隅々まで行き渡るフラッグシップブランド「ザ・シチズン」が誕生してから今年で30周年。それを記念した限定モデルが登場した。
シチズン/ザ・シチズン
最新作にも、光発電エコ・ドライブで年差±5秒の高精度やパーペチュアルカレンダーを特色とする先端ムーブメント、軽量でキズに強くサビにくいスーパーチタニウム、そして光の透過と美しい質感を併せ持つ和紙ダイアルなど、シチズンのエッセンスを凝縮。また今回の土佐和紙ダイアルでは、ジャパンブルーとも呼ばれる藍色を施し、日本の伝統的な美の様式に新たな境地を開拓する。“The CITIZEN”30周年記念限定モデルは、特別なジャパンブルー「勝色(かちいろ)」を纏う。

▲レギュラーモデル AQ4091-56M:ケース直径40mm、10気圧防水。44万円。

▲30周年記念限定モデル AQ4100-65M:ケース直径38.3mm、10気圧防水。世界限定550本。46万2000円。
藍より青く、のひとつの集大成
数藤 健
「青は藍より出でて、藍より青し」(荀子)。弟子が師匠を超えることの例えとして用いられるこの言葉の本来の意は、“学問は途中でやめるな。研き究める努力を継続することですぐれたものになる”だという。
シチズンは2017年から先進技術と日本の伝統の融合=エコ・ドライブ×和紙文字盤の採用を開始し、22年から藍染和紙による新表現への挑戦を行ってきた。たゆまぬ研鑽の集大成のひとつが“勝色”文字盤のThe CITIZEN30周年記念モデル。
光のあたり方により多彩な表情を見せる、紺よりもさらに濃い神秘的な日本の伝統色は、武具や祝賀の品に用いられてきた。5回以上染め上げられた、ひとつとして同じ表情のものはない美しい文字盤。ぜひ実物を手に取り確かめてほしい。
日本の伝統美に酔う
高木教雄
機械式が主な取材対象となりがちだが、クォーツが嫌いなわけではない。しかもこのような年差±5秒という規格外れの高精度となれば、興味津々である。水晶振動子の形状を見直し、加工精度を上げ、さらにエージングすることで得られる超高精度は、フラッグシップモデルの周年記念にまさにふさわしい。わずかな光でも発電し動く“エコ・ドライブ”もSDGsな時代性に合っている。
発電素子の光を届けるため、ダイアルには透過性が必須。その素材として土佐和紙を選んだのは、まさに慧眼である。丈夫で光を通し、漉いた質感はニュアンスが豊かで高級感もある。さらに藍を幾重にも染め上げた“勝色”が、実に味わい深い。日本らしい情緒ある工芸美が、沁みる。

問い合わせ=シチズンお客様相談室 Tel.0120-78-4807
◆ザ・シチズンの詳細はこちら写真=奧山栄一
(ENGINE2025年9・10月号)