2025.08.07

CARS

大幅改良の新型アウディA3に試乗 1360kgの軽量ボディ×ロードスター級高回転が爽快で楽しい!

2021年に登場した3代目アウディA3の大幅改良版だ。

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2021年に登場した3代目アウディA3の大幅改良版。VWゴルフなら8.5型に相当する新型のA3スポーツバックに、たっぷりと試乗する機会を得た。エンジン編集部員の村山がリポートする。

今にも走り出しそうな力強さ

スポーティな“S line”仕様だとはいえ、新型アウディA3と対面して思わず「S3の間違いではないか?」と思ったのは、表情豊かなプログレッシブ・レッドのカラーに加えて、よりワイドになった六角形フレームレス・グリルやブラック・アウトされた左右のエア・インテークから、今にも走り出しそうな力強さを感じたからだ。

リアのデザインも同様で、大きなリア・スポイラーやディフューザー風のバンパー形状はS3やRSを彷彿させるほどである。全長4345mm、全幅1815mm、全高1450mmのコンパクトなボディからは、ギュッと引き締まった体幹の良いアスリートのような印象を受けた。


Dシェイプのステアリング・ホイールが良い

乗り込むと、サポート性が高いシートが身体にフィット。何よりも良いと思ったのはDシェイプのステアリング・ホイールで、小径なだけでなく握りが細めなのだ。パンチング・レザー素材は通気性も良く、手触りも良い。最近は驚くほど太い握りのクルマも少なくないが、より繊細にクルマと向き合えるのはこっちだ。

室内を見渡すと、一つ一つのパネルがビシッと組み付けられている。もちろん部分的に樹脂パーツもあるのだが使い分けが巧みで、手に触れる部分の素材に安っぽさを感じないのである。スイッチの操作感も節度があり心地良い。誰もがわかる、明確なプレミアム感がある。


軽やかに走る

試乗車のグレードは30TFSI。前期型は1.0リッター3気筒ターボ+MHEVの“30”(FF)と、2.0リッター4気筒ターボの“40”クワトロが選べたが、新型はFFの“30”に1本化され、1.5リッターの4気筒ターボ+MHEVに改められた。変速機は7段自動変速MTで、この組み合わせはVWゴルフ8.5型に準じている。



都内の一般道を走り始めてすぐに感じたのは、とにかく軽やかに走ることだ。例えば、新型A5セダンは最もシンプルなモデルでも1750kgの車重があるが、このA3は1360kg。エンジンの性能は116ps/220Nmで正直言って控えめだけれど、最大トルクはたった1500-3000rpmの低回転域で発生する。車重の軽さも相まって、ストップ&ゴーの多い市街地を走る分にはスペックから想像する以上に力強く、スポーティとすら言えるレベルだ。



アウディならではのロードホールディング性の高さも健在。夜中の高速道路で豪雨にも遭ったが、道路の凸凹や滑りやすい橋の継ぎ目などなんのその。ダンピングが良く効いた足は、がっちりと路面を捉え続けてくれた。そのとき思いがけず体験できた“オールウェザーライト”機能は、近くを明るく照らしつつ道路の反射を低減するもので、視界が一気に開けるような感覚が素晴らしいと思った。

エンジンは上までよく回る

嬉しい誤算だったのは、ワインディング路の運転が望外に楽しかったこと。さすがに登りではパワー不足かと思っていたが、エンジンは上までよく回る! 自動MTの変速も歯切れよく、エンジンを使いきる気持ちよさは、私が大好きなマツダ・ロードスターにもどこか通じるような気がした。

VWゴルフで運転を楽しむならGTIやRを選びたいけれど、アウディならS3やRS3までは必要ないかもしれない……。そう思うほど運転して楽しく、それでいて内外装も上質で、なんだか良い気持ちになる。新型A3は、そんなクルマだった。



文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2025年9・10月号)
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