2025.08.16

CARS

ゲレンデを3台乗り継いでたどり着いたアストンマーティン 田中大貴さん(フリーアナウンサー)の愛車はグレーのDBX

企業とアスリートを繋ぐスポーツコンサルティングの会社を運営している田中大貴さん。

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赤いサターン

田中さんが自動車免許を取ったのは19歳。大学野球部の寮にいたときだった。

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「最初に乗ったのは父から貰った赤いサターンです。父がクルマ好きで子供の頃、家に帰ると自動車雑誌がたくさん置いてありました。欲しいクルマの記事には付箋があって。そんな父の姿を見て子供心にクルマというものが刷り込まれていったのかもしれません」

2003年、田中さんはフジテレビジョンに入社。アナウンサーとしての生活が始まった。

「社会人になって最初に買ったクルマはBMWが初めて出したSUV、X5です。アフリカにロケに行ったときに荒野をX5が走っていて、カッコイイなあと思いました。その後、カンヌ国際映画祭に行ったときに、石畳の路地を走るX5に再び感動したんです。これは運命だなと」

白いX5を購入したのは23歳のときだった。

「X5で感動したのはインテリアのクオリティの高さです。サターンとは全然違いました」

X5の次はメルセデス・ベンツG500。田中さんは現在の愛車DBXに乗り換えるまで、このG500からG55AMG、そしてG350dとゲレンデヴァーゲンを3台乗り継いでいる。

「X5からゲレンデに乗り換えたのは明石家さんまさんが乗っていたのを見たからです。さんまさんと木村拓哉さんの『さんタク』というお正月番組でMCをやらせていただきました。そこにさんまさんが紺色のゲレンデでいらっしゃって。いやあ、カッコイイなあと思ったんです」

こうして紺色のゲレンデヴァーゲンに乗り始めた田中さん。X5に比べるとトラックを動かしているような感じだったという。

「ステアリングやアクセルなどの反応が鈍く、わがままな彼女に言うことを聞いてねという感覚で運転していました」



それでも3台を乗り継いで現在のDBXになった。DBXの俊敏性を楽しんでいるという田中さんだが、鈍重なゲレンデヴァーゲンからの乗り換えはそれをさらに印象深くしたのだろう。

「関西にも仕事の拠点があって、そこではトヨタFJクルーザーに乗っています。販売停止の噂を聞いて急いで買いました。黒いボディなんですけどルーフを白くして、グリルガードを付けたりと、いろいろ改造しました。FJクルーザーはあの不細工感がいいですねえ。DBXと正反対の立ち位置にある。もう可愛くて仕方がないです」

関西に拠点があるというのは、2018年にフジテレビジョンを退職したあとに自分で会社を立ち上げたからである。

「スポーツコンサルティングの会社を運営しています。企業とアスリートを繋ぐ仕事です。企業のタスクとアスリートのタスクって意外と親和性が高いんです。それぞれの目標を達成するためのアイディアやリソースを提供するということです。具体的にはメジャーリーガーやチーム・団体の広告プロジェクトなどです」

もちろん、いまもスポーツの実況中継やキャスターもやっているので、仕事の二刀流ということになる。スポーツの実況中継はスポーツを俯瞰で見ないとできないと思うので、企業とアスリートを繋げる仕事も俯瞰で見ることが役に立っているのかもしれない。

それにしてもフリーアナウンサーをやりながらの起業というのはチャレンジャーである。

「史上初とか、前代未聞とか、前人未踏とか、いままで誰もやったことのないことを取りに行くのはとても価値があると思っています。リスクを取りに行かないと大きなものは達成できないですから」

ドジャース17番の顔が頭に浮かんだ。

「会社を辞めたいんだけど、辞めたらどうなるんだろう? 収入が落ちたらどうしよう? とマイナスの棚に要素をたくさん並べる人と、次の世界に行くときに、あれも出来る、あの人にも会えるとプラスの棚に要素を並べる人がいます。僕もブレーキを踏むよりアクセルを踏む回数が多いタイプですね」

田中さんがスポーツコンサルティングのビジネスでも活躍しているのは、そのポジティブな考え方が支えになっているのだろう。

田中さんにとってクルマとは?

「パートナーですかね。かけがえのない存在です。仕事へ行く途中で自分のスイッチを切り替える場であり、ときには発声練習の場でもある。自分に必要な要素をすべて兼ね備えている空間です」

ただ運転するためだけにDBXを動かすことがあるという田中さん。生まれ変わったらF1パイロットになりたいそうだ。夢の中でもチャレンジャーなのである。

文=荒井寿彦 写真=筒井義昭 スタイリング=田川 匠 ヘアメイク=堀 紘輔

田中大貴(たなか・だいき)
兵庫県出身。1980年生まれ。兵庫県立小野高校卒、慶應義塾大学環境情報学部卒。大学時代は体育会野球部に所属し、東京六大学でプレーする。2003年フジテレビに入社し、アナウンサーとして勤務。「EZ!TV」「とくダネ!」「すぽると!」「HERO’S」、スポーツ中継等を担当。バンクーバー五輪、リオデジャネイロ五輪現地キャスター。プレゼンター、MC、実況者を歴任。2018年に独立。スポーツアンカー、経営者として活動中。東京五輪ではIOCベニューMCを務めた。番組MC、スポーツ実況、執筆連載などメディア出演の他にInflight.Co.,Ltdを立ち上げ、スポーツチーム・団体・企業とのビジネスコーディネーション、コンサルティング、メディア制作、CSR活動イベントの企画・運営にも積極的に取り組む。

(ENGINE2025年9・10月号)

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