2025.08.03

CARS

思い出すのはW124の乗り味 島下泰久(自動車評論家)が新型メルセデス・ベンツCLAに試乗 これぞコンパクト・ラグジュアリー

快適性と先進性を備え、次世代コンパクトの理想像を体現する新型メルセデス・ベンツCLAが、EV専用設計の「MMA」アーキテクチャーを採用して登場。デンマークで行われた国際試乗会に参加したモータージャーナリストの島下泰久がリポートする。

キーワードはSクラスフィール

通算3代目となるメルセデス・ベンツCLAは、新開発のMMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)採用第一弾となるBEV(バッテリー電気自動車)に生まれ変わった。試乗の舞台は高いBEVシェアを誇るデンマークの首都、コペンハーゲンである。

電動モデルには、後輪駆動のCLA 250+と、AWD高性能仕様のCLA 350 4MATICがラインナップされる。「250」は200kWの出力と335Nmのトルクを発揮し、最大航続距離はWLTP基準で792kmを誇る。

従来と同じ4ドア・クーペとは言っても、リア・クウォーター・ウインドウが追加され、リア・ウインドウの傾斜が従来より強められたフォルムは、床下にバッテリーを搭載するためにホイールベースが伸び、全高も高くなる中で、いかにそれらしいフォルムを描き出すかという苦心の作だ。実際、それは上々の結果に繋がっていると言っていい。



電飾入りのスターマークを戴く大面積のブラックパネルに142個ものLEDがちりばめられているなど意匠は華やか。インテリアも、MBUXスーパースクリーンの採用など、よりゴージャスな雰囲気だ。実際、開発陣がしきりに口にしていたのは「Sクラスフィール」という言葉である。

まず試したのはCLA250+with EQ Technology。2段ギアを備えた1モーターの後輪駆動で、スペックは最高出力272ps、最大トルク335Nmを発揮する。



電気モーターの低回転域からの大トルクをいたずらに誇示することなく、走り出しはスッと軽やか。パワートレインは非常に静か、そして滑らかで、モーターやインバーターに起因するような音は聞こえてこない。2段ギアも然りで、ショックなどとは無縁に、加速と電費を両立させている。

乗り心地にも驚かされた。車体の剛性感は凄まじく高く、それを土台にサスペンションはしっとりと路面に追従する。直進性に優れ、高速域まで挙動は穏やか。これなら792kmに及ぶ航続距離を活かして、疲れ知らずで遠出できるだろう。



ふと思い出したのは、W124のあの乗り味だった。確かに両者はサイズの似通った、ともに後輪駆動のメルセデスなのだ。

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