ケースはやはりトレンドの小径か。ブレスレットか、ストラップか、文字盤は定番の黒白青か中間色か、機械式ムーブメントは魅力的だがクォーツの精度と利便性も見逃せない。より柔軟・自由な”新基準=ニュースタンダード”によって、今の自分にふさわしい一本を選びたい。時計選びに悩んだときはENGINE時計委員のコメントをご参考に!
遊び心あふれるニュアンスカラー文字盤の新登場でニュースタンダードとしての地位、揺るぎなし|ロレックス オイスター パーペチュアル
1931年に開発されたオイスター パーペチュアルは、自動巻き機構、防水性能、計時精度の3つを併せ持つロレックス初の腕時計として名声を築いている。
今年は新鮮なパステルカラーダイアルがラインナップ。特に現行品にはないマット仕上げベージュのダイアルを採用する34mmモデル(左)や、同仕上げのピスタチオダイアルを組み合わせた36mmモデル(右)は印象的。
自動巻きムーブメントは、約55または約70時間パワーリザーブや高精度クロノメーターを特徴とするロレックス完全自社製キャリバー2232と3230。オイスタースチール、100m防水。34mmモデル 88万6600円。36mmモデル 93万2800円。
ニュアンスカラーに色気あり 柴田 充ロレックスの印象はかつてのメルセデスに似ていた。質実剛健で信頼性が高く、社会的なステイタスもある。面白みにはやや欠ける半面、道具として使い込むにはこれ以上のものはない。時おり出す洒落っ気も、優等生が無理に背伸びしているようで武骨さが拭えなかったのも同じだ。
ところが近年は、クラシックに回帰した薄型の「パーペチュアル 1908」など時代のトレンドを取り入れ、スタイリッシュさが板についてきた。
「オイスター パーペチュアル」もカラフルなセレブレーションモチーフを始め、文字盤カラーに多彩なバリエーションを揃え、とくにニュアンスカラーに色気を感じる。普遍的な時計におけるニュースタンダードになっていくのだろう。
色彩の遊び心を楽しみたい 野上亜紀初めて見たときの、自身の感想なのだが、なんだかおいしそうだな……と思った。果実の鮮やかさとは異なり、視覚でまずその見た目を愛で、そして最後に味覚を楽しむお菓子のような印象を持ったのである。
それはやはりビビッドという言葉とは対極にある、ニュアンスカラーならではの効果なのかもしれない。かつマット仕上げのラッカーダイアルが見せる趣深い質感も、そう思わせる所以なのだろう。
私にとっての最初の印象はお菓子であったが、ある人はまた別の想像を膨らませるに違いない。シンプルな造形も相まって、色の美しさが心にすっと入ってくるからだ。月並みな言い方ではあるが、まさに色彩の遊び心を楽しむ、という言葉がふさわしい時計だ。
問い合わせ=日本ロレックス Tel.0120-929-570
(ENGINE2025年9・10月号)