2025.10.27

CARS

驚異的な高電圧テクノロジー!【ポルシェ・カイエン・エレクトリック】しかし高い充電性能に日本のインフラは置き去りか

新型「ポルシェ・カイエン」がまもなく公開に!

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発売まで秒読み段階の「ポルシェ・カイエン・エレクトリック」には、斬新な高電圧テクノロジーが採用される。

バッテリー冷却性能は家庭用の大型冷蔵庫100台分!


統合型バッテリーやパワフルなデュアル冷却器、高度な温度管理、強力な充電性能とともに、ポルシェの電動化技術である“E-パフォーマンス”を新しいレベルへ引き上げる基礎となるものだ。



社内開発の“プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)”の進化版は、800Vアーキテクチャーを採用。優れた充電性能やエネルギー管理、高効率をもたらす基盤だ。



これに新たな駆動系を組み合わせることで、航続距離は600kmを超えるとみられる。



高速巡航でも長距離走行が可能で、プロトタイプはアメリカのハイウェイの制限速度である113km/hで563km走行できることを実証している。



高圧バッテリーの総容量は113kWhで、バッテリー・ハウジングに対するセルの比率は、タイカンの第2世代バッテリーより12%増加。車体の構造部へ直接組み込まれ、剛性向上と低重心化にも貢献する。バッテリー・モジュールは専用開発のアルミ・フレームを用い、衝突時には狙いどおりのエネルギー吸収によりセルを保護する。



6つの交換可能なモジュールで構成されるリチウムイオン・バッテリーは、192の大判パウチ式セルを内包する。グラファイト・シリコンのアノードとニッケル・マンガン・コバルト・アルミのカソードを使用し、86%のニッケル比率でエネルギー密度を最大化するとともに、シリコンが急速充電性能を大幅に引き上げる。また、アルミがセルの強度を高めた。結果、タイカン用バッテリーより7%高いエネルギー密度と、充電効率のアップを果たしている。





バッテリーを上下から冷却するシステムは、高電圧化の鍵だ。温度調整を正確に行い、天候や充電の電力、運転スタイルを問わず、常に温度帯を最適化する。その冷却性能は、家庭用の大型冷蔵庫100台分に相当。また、初採用の高効率送風ファンは、従来の吸引ファンより約15%の省エネを可能にする。

温度管理は新たに予測型となり、気温やナビの情報に基づくルートや地形、交通状況、走り方などを連続的に分析。そのデータに基づき、温めたり冷やしたりの判断を下す。また、充電プランの策定とも密接に協調する。

急速充電は400kWまで対応し、最短で10〜80%は16分、300km以上の航続距離相当分を10分で補充できる。最大値に近い充電性能を確保できる充電量は50%程度まで拡大し、それを実現可能なバッテリー温度は15度まで大幅に引き下げた。また、400V充電器にも対応する切り替え機能を内蔵し、その場合は最大200kWが使用可能となる。



2026年には、ワイヤレス充電も実用化。出力は11kWだが、自宅のガレージなどに充電用プレートを設置しておけば、その上に駐車すると自動で車高を下げて、ソケット差し込みの手間なくチャージしてくれる。充電効率は、最大で有線の90%程度に達するという。とはいえ、10%程度の損失はあるのだから、便利さの代償に環境負荷を高めることになるのも事実だ。



車両側の技術は着実に進んでおり、海外では充電器の高出力化も進んでいるが、日本では電気自動車の普及率の低さや保守的な法規に阻まれ、インフラの整備が遅れている。せっかくの高性能な電気自動車がやって来ても、その恩恵を十二分に享受できないのは、なんとも歯がゆいところだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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