2025.11.11

CARS

SUVには負けられない!マイナーチェンジ版ルノー・ルーテシアはこのシャシー性能だけで「買い」

2019年に登場した5代目ルーテシア。本国では2023年にマイナーチェンジが行われたが、ようやく本邦にも導入されることとなった。

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コンパクトなBセグメントでさえ、SUVの波に押されつつあるが、新型ルーテシアに乗ると、「背の高い物には負けん」という意気込みを感じる。ENGINE編集部のアライがその模様をレポート。走り好きの皆さん、背の低いクルマはやっぱり面白いですよ。

フルモデル並みのイメチェン

発表直前の9月に開かれたミュンヘン・モーターショーでなんと6代目がお披露目されるという、日本サイドとしてはちょっとションボリなタイミングでの日本上陸となった5代目ルーテシアのマイナーチェンジ・モデル。本国では2023年4月に発表されていたものの、日本導入まで2年以上掛かってしまったのがややこしい事になった要因だ。

ちなみに、6代目は右ハンドルの生産開始が2027年以降になる予定なので、日本にやって来るのは早くてもそれ以降、つまり1年以上先の話となる。

話は戻って、マイチェン版について。写真を見ておわかりのとおり、フロントまわりのデザインがフルチェンジ並みに大きく変わった。左右に広がるように配されたドット柄のグリルに、ロサンジュと呼ばれるひし形のルノー・マークをモチーフにした縦型のデイタイムライトを組み合わせる。これまでのルノーとはちょっと趣きの異なる煌びやかな新しい意匠が与えられた。

「でも、なんかプジョーに似てない?」と思った人は鋭い。実は、プジョーで先代の3008をはじめ、508や208を手掛けたデザイナー、ジル・ヴィダル氏が2020年にルノーに移籍し、このデザインを手掛けたのだ。つまり似ているのではなく、つくった人が同じというわけ。

マイナーチェンジモデルでは、ルノーのスポーツブランド「アルピーヌ」のエッセンスを取り入れた「エスプリアルピーヌ」が新設定された。

がらりと変わった顔だけでなく、エスプリ・アルピーヌが設定されたのもトピック。現行アルカナでお馴染みのアルピーヌ仕立てのスポーティ・グレードだ。外観では、フロント・バンパーにF1ブレードと呼ばれるシルバーの加飾が入り、フェンダーにはエスプリ・アルピーヌのバッジを装着。ホイールも17インチの専用品だ。

内装では、アルミペダルや人工皮革のTEPレザー・ステアリングが備わるほか、シートバックをはじめ、各所にアルピーヌのロゴが配されている。ちなみに、シートは大きな改良を加えた自信作だという。

インパネでは、メーターが10インチの全面液晶パネルとなり、中央のディスプレイが縦型の9.3インチへとサイズアップ。ステアリングにはヒーターが備わる。

走りの面では、1.6リッター直4+2モーターを備えたフルハイブリッドのE-テックが進化した。システム総合出力が143psへと3ps高くなり、WLTCモード燃費が25.4km/リッターへと0.2km向上している。それ以外についてはシャシーを含め、大きな変更はアナウンスされていない。

ひとつ残念なのは1.3リッター直4ターボを積んだ普通のガソリン・モデルがラインアップから落ちたこと。パワートレインはE-テックのみ。グレードもエスプリ・アルピーヌしか設定されないので、新型ルーテシアは単一モデルとなる。

好き者には堪らない

アルピーヌの象徴であるブルーのボディをまとった新型。新しい顔とアルピーヌ風味の組み合わせは華やかかつ上品で、ふたクラスほど格上のクルマに見える。自信作という新しいシートは以前の物より表面の張りが強く、従来型では意外と早くお尻のあたりが落ち着かなくなり、モゾモゾと動かしたくなったが、新型は身体をしっかりと支えてくれる。今回は半日程度の試乗だったが、違和感を覚えることはなかった。

1.6リッター直4自然吸気エンジンにメインとサブ、ふたつのモーターを組み合わせるルノー独自のハイブリッドシステム「E-TECH」を搭載。

出力向上が図られたE-テックだが、さすがに3psアップを実感することはできなかったが、これまでと同様にいい仕事をしてくれた。モーターが主体で、エンジンが始動したとしてもその存在を主張しないし演出もしないので、エンジン派には物足りないかもしれない。

しかし、モーターの特性を活かした走りは俊敏で、加速時のトルク変動も少ないのでとても扱いやすくて好印象。もちろん加速性能も申し分ない。

そして何より感心したのは、やはりルノーが得意とするシャシーだった。ステアリングを切ったときの応答性やクルマの姿勢、安定性など、どれを取ってもクラストップと感じるほど秀逸。ステアリングのギア比が速過ぎないのもいい。走り好きには堪らない仕上がりはしっかりと維持されていた。乗り味はこれまで同様、若干硬めだが、以前よりは入力の角が丸められていた。これは新型の進化ポイントと言っていいだろう。

見た目が変わっても、時代の要求に応えても、走りの良さは失わない。この脚だけで「買い」です。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

■ルノー・ルーテシア・エスプリ・アルピーヌ・フルハイブリッドE-テック
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4075×1725×1470mm
ホイールベース 2585mm
トレッド 前/後 1505/1495mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1300kg(前790/後510kg)
パワートレイン形式 直列4気筒DOHC16V+2モーター
総排気量/ボア×ストローク 1597cc/78.0×83.6mm
最高出力 エンジン(モーター) 94ps/5600rpm(49ps/1677-6000rpm、20ps/2865-10000rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 148Nm/3200rpm(205Nm/200-1677rpm、50Nm/200-2865rpm)
システム総合出力/トルク 143ps/-Nm
変速機 4段(エンジン)×2段(モーター)自動MT
サスペンション形式 前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 205/45R17 88H
車両価格(税込) 399万円

(ENGINE2025年12月号)
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