ホンダとアキュラの北米レーシング部門であるホンダ・レーシング・コーポレーションUSA(HRC US)は、2025年のSEMAショーで、オンロードおよびオフロード用途向けの性能と能力を向上させる新製品ラインのプロトタイプを公開する。
HRCは、新型ホンダ・シビック・タイプR・ラリーXPを含む8台の車両をSEMAショーに出展。また、HRCのチャンピオンシップ優勝経験を持つエンジニアが開発した軽量鍛造ホイール、改良サスペンション部品、空力強化部品などのプロトタイプ部品を搭載した特別プロジェクト車両も展示される。
【世界初公開】シビック・タイプR・HRCラリーXP
シビック・タイプR・HRCラリーXPは、F1ドライバーのリアム・ローソンと共にテキサス州でのオフロードテストを終え、車両の耐久性と性能を検証したばかりのモデルだ。

シビック・タイプRをベースにレーシング・セーフティ・コンポーネントを追加したシビック・タイプR・HRCラリーXPは、HRCのレーシングカタログから既存のキャンバー/キャスタープレート、オイルクーラーキット、インタークーラー、逆冷却フローホース付きラジエーター、クラッチプレートデファレンシャル、サスペンションコンポーネント、TCRボンネットベントを採用。

また、ラリーホイールサイズに合わせたブレーキ、シフター、カーボンファイバー製油圧ハンドブレーキ、カスタムエキゾーストなど、多数のプロトタイプパーツも搭載している。
さらに、チューブラーサブフレームで支えられたアルミスキッドプレート、追加のアンダーボディプロテクション、ラリー専用ダンパーを備え、ラリーコースでの走行にも対応している。
オーバーランディング探索のために設計された「パスポート・トレイルスポーツHRCコンセプト」
パスポート・トレイルスポーツHRCコンセプトは、2026年型ホンダ パスポートをベースに、HRCパフォーマンスパーツやアクセサリーなどを装備したモデルだ。

オフロードでの走行やオーバーランディング探索のために設計されたこのコンセプトカーは、パフォーマンス、プロテクション、照明、ユーティリティなどが強化されている。特に、フォグランプ、サイドキャンプライト、ルーフトップライトバー、ディッチライト、リアチェイスライトなど、照明まわりを重点的に改良していることがポイントだ。
また、フロントとリアのバンパー下部を再設計し、アプローチアングルとディパーチャーアングルを改善し、アルミ製スキッドプレートを延長、センターベアリング、プロペラシャフト、リアドライブユニットなどの重要コンポーネントを保護するためのアンダーボディプロテクションも改良されている。

さらに、新しいフロントとリアのダンパー、専用エキゾーストシステム、60mmのサスペンションリフトに加え、タイヤ径を1インチ拡大することで地上高を向上。サイドステップとしても機能する幅広のロックスライダーやスイングアウト式のフルサイズスペアタイヤキャリアなども変更されている。
HRCは、車両のオーバーランディング能力を強調するために、サイドキャノピーを備えたロープロファイルルーフラックを開発。このコンセプトカーでは、8000ポンド(約3400kg)のウインチと一体型リアエアコンプレッサーが装備される。

インテリアは、HRCブルーの専用アルカンターラ・インサートとロゴ、車体各所に新たに設置されたHRCアクセサリーマウントパネルが特徴となっている。
今後のHRCパーツへの展開を見据えた「インテグラ・タイプS・HRCプロトタイプ」
インテグラ・タイプS・HRCプロトタイプは、アキュラARX-06レースホイールをベースとした新型鍛造ホイールを含む、ストリートとサーキットに対応した新開発のHRCプロトタイプパフォーマンスパーツを装備したモデルだ。

このプロトタイプでは、先進の空力特性、軽量化、強化されたサスペンションコンポーネントを採用。将来的にHRCパーツに活かされる可能性を示している。
スーパーGTのシビック・タイプRやホンダエンジン搭載のハイブリッドインディカーなども展示

SEMAショーでは、上記のモデルのほかに、シビック・タイプR・スーパーGTレースカー、ホンダ・バハ・パスポート・レーストラック、ホンダエンジンを搭載するハイブリッドインディカー、シビック・タイプR・TCRレースカー、アキュラARX-06 IMSA GTPプロトタイプ&フィリップス66ルブリカンツショーケースなどが展示される。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)