日本から世界に向けて初披露されたミニのポール・スミス・エディション。実は両者のコラボレーションがスタートしたのも今から28年前の東京でのことだったという。
ミニとポール・スミスとのコラボレーションは今から28年前、1997年の東京で始まった。
この年の東京モーターショーで発表されたのはカラフルなシグニチャー・ストライプをローバー・ミニのボディに施したアートカーだった。
すでに生産終了が囁かれていたミニと、現代性と先鋭性を表現したポール・スミスのアイコンというべきシグニチャー・ストライプの組み合わせは、彼が提唱するClassic witha twist(ひねりの効いたクラシック)そのものであり、オールド・ファッションの象徴的だったミニを一気に時代の最先端へと引き戻すことに成功した。
その世界的反響からミニが生誕40周年を迎えた98年にはポール・スミス・ブルー、オールド・イングリッシュ・ホワイト、ブラックという3色専用カラーと、内装やエンジンのロッカーカバーなどにシトラス・グリーンの“差し色”を忍ばせた初代ミニ ポール・スミス・エディションを世界限定1800台で発売。瞬く間に完売しただけでなく、発売から30年近くが経った今でも新車時の倍以上の価格で取引されているほどだ。
そこまでのカリスマ的人気を誇るのは、単にミニとポール・スミスのダブルネームというだけでなく、カラーの選定時に、サー・ポール・スミス自身が着ていた青いシャツの裾をハサミで切り取り見本として提出したとか、当時のカタログに服作りのフィロソフィー、ミニに対する気持ちが語られていたとか、過去に行われた様々なアーティストとミニとのコラボレーションの中で、唯一プロダクトとして販売された……といった“物語”も含まれているからだろう。
その影響力は2020年代に入っても弱まることはなく、2021年には「透明性」、「シンプルさ」、「持続可能性」をキーワードに、ミニ クーパーSEをベースとしてレザーの代わりに自転車用のバーテープが巻かれたステアリング、センターメーターを外してベーシックな素材を露出させたインテリア、亜鉛メッキ鋼板のまま無塗装のボディパネルや、再生プラスティックを用いた樹脂パーツなど、ミニの本質的な部分のみを残して再構築し直したミニ・ストリップを発表。

翌22年には初代ミニ ポール・スミス・エディションのエンジンを外して90kWの電気モーターとバッテリーを搭載して電動化したうえに、再生繊維のシート・カバーや、再生ゴムのフロア・マットを装着したミニ・リチャージド・バイ・ポール・スミスを発表している。

そこで彼は「もし古い叔母の家に引っ越したなら、その家に敬意を表して、すべてを丸ごと変えるのではなく、モダンにアップデートするでしょう」と話し、後日オリジナルの状態にも戻せるようエンジンをマーキングして保管するなど、過去を尊重しながら未来を見据えるポール・スミスらしい持続可能なモビリティのあり方を見せてくれた。

そして2025年、ミニとポール・スミスとのコラボレーションは再びこの東京から、ミニ ポール・スミス・エディションと共にスタートするのである!

文=藤原よしお 写真=MINI
(ENGINE2026年1月号)