毎年恒例「エンジン・ガイシャ大試乗会」、2026年もやります! 大磯プリンスホテルの大駐車場に総勢33台の輸入車を一挙に集め、33人のモータージャーナリストがまる一日かけてイッキ乗り! 2026年上半期イチオシの各ニューモデルにそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開。
今回はフィアット600ハイブリッド・ラ・プリマに試乗した関 耕一郎さん、大井貴之さん、菰田潔さんのリポートをお送りする。
>>>松田秀士さん、今尾直樹さんのリポートはこちら<<<
「振動さえも愛おしい」関耕一郎
俺たちのフィアットが帰ってきた! かつて職場にあった2代目パンダ、乗るたびにウキウキした先代500、それに通じる歓びがみなぎっていた。

決してフィアットのBEVは悪くない。むしろ500eの走りは、ICEの500より質感が高い。でもBEVは、充電環境や航続距離で乗り手を選ぶのもまた事実だ。
600ハイブリッドはその点、キュートなルックスと上質で洒落た内装はBEV同様で、加速も遜色ない。かつてのパンダや500よりずっと力強いパワートレインは、直3らしい振動はあるが、それさえむしろ愛おしく感じられる。BEVより250kg軽いこともあり、ハンドリングは軽快。それでいて、ワインディングや高速レーンチェンジでの身のこなしが頼もしいのは、小さなフィアットの変わることのない感動ポイントだ。
こうなると、欧州で発表された500ハイブリッドも気になる。MTのみというのが日本では販売上のネックかもしれないが、お構いなしのユーザーも少なくないはず。個人的には、500も600もかなり欲しい。
「イタリアの香りを楽しめる」大井貴之
穏やかな走りのテイストは少し昔っぽくも感じる。もしかしてシングルクラッチ? 疑ってしまうほどのんびりシフトをする。もちろんシングルクラッチほど待たされる感じはないしギクシャク感もない。

日本ではフィアット初のハイブリッド車となる48Vマイルドハイブリッドを搭載する。マイルドハイブリッドのモーターアシストはとても控え目。ステランティスグループの新世代ピュアテックである3気筒1.2リッターターボは136ps /230Nmで、約22ps/51Nmのモーターがアシストし、変速機に6段デュアルクラッチ式自動MTを組み合わせる。5分も走ればこのおっとりした走り味に違和感がなくなり、すっかり600のペース。
「しかしこれでターンパイクは……」と思いながら走ってみると、上りも下りもまるっきりストレスを感じない。ロールは大きめながらも、アクセルONでステアリングを切った方向にグイグイと引っ張っていくハンドリングが気持ちいい。すべては狙ったテイストなのだろう。
デザインでも走りでも、イタリアの香りを楽しめる一台。
「中身は大人」菰田潔
EPCのTAさんが「横に乗っていても良さがわかる」と言ってくれたとおり「可愛い顔して、いい走り」を味わわせてくれる。
インパネのカラー・アニメーションでパワートレインが今何をしているのかを知らせてくれる。エンジンと電気の入れ替わりもスムーズなので、機械の都合を考えずドライバーは走りたいようにペダルをコントロールすればいい。エンジンの力不足を電気がうまくカバーしているから見かけより元気に走る。外見は子供っぽいが中身は大人だ。

ハンドリングも同じように洗練された大人の味を出している。うねりもある粗い舗装のコーナリングでは脚が綺麗に動き、タイヤは上下するもののボディはフラット感を保っている。リア・タイヤの上下動でもトー変化がないせいか、クルマがふらつかずハイレベルの安定性を感じる。
パワートレインとサスペンションがこれほど熟成の域に達しているコンパクトカーはなかなかない。このプラットフォームがいい。ステランティスグループの今後のクルマにも注目したいと思った。

■フィアット600ハイブリッド・ラ・プリマBEVに続いて2025年5月に追加されたマイルドハイブリッド。フロント1モーターの代わりに1.2リッター直3ターボ+48V駆動のモーターを搭載。エンジンの出力はアルファ・ロメオ・ジュニアと同値の136ps /230Nm。内外装はBEVとほぼ同じ。全長×全幅×全高=4200×1780×1595mm。ホイールベース=2560mm。車両重量=1330kg。車両価格=419万円。
写真=神村聖/茂呂幸正/望月浩彦/小林俊樹
(ENGINE2026年4月号)