ステランティス・ジャパンは新しいフロント・マスクを得たミドルサイズSUV「トナーレ」を発表。と同時に、先日欧州市場で2027年まで生産延長となったサルーンの「ジュリア」とSUVの「ステルヴィオ」の“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”を台数限定ながら日本市場に導入するとアナウンスし、この特別な「ジュリア」を新型「トナーレ」と並べて披露した。
アルファ・ロメオのファンなら理想のペアリングか?
クルマ好きにとって、いい意味でのサプライズだった。アルファ・ロメオのCセグメントSUV、「トナーレ」のニュー・バージョンの横には、近年ではもはや貴重な、520馬力を発揮する純内燃エンジンの2.9リットルV6ターボで後輪のみを駆動する「ジュリア」のトップ・パフォーマー“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”が並んだのだ!

しかも「ジュリア」のみならず、同じ2.9リットルV6ターボを搭載する「ステルヴィオ」の“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”も日本市場へ投入するという。

いったんは電動化へ舵を切ったアルファ・ロメオが欧州でこの2台の継続生産をアナウンスしてからまだ1カ月も経っていない。
会場で聞いたところによれば、国別に見るとこの両者の“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”の割り当て台数は日本市場がもっとも多いという! 我が国におけるアルファ・ロメオ・ファンの熱い思いは、イタリア・ミラノの本拠地にきちんと届いている、ということなのだろう。
よりシャープかつワイルドに
「ジュリア」の詳細も気になるところだが、まずは今回の主役である「トナーレ」について。2023年のデビューから最初のマイナーチェンジでいちばん大きく変わったのはフロント・マスクだ。

横方向に桟の入る伝統の盾型グリルは、世界33台限定の現行アルファ・ロメオにとってイメージ・リーダーである「33ストラダーレ」に通ずるクラシカルなタイプ。この盾の左右には“アゾレ”と呼ばれる左右2対のエア・インテークも設けられた。1930年代のレーシング・カー「P3(ティーポB)」にも通ずる意匠と紹介されたが、近年の「156」などでもお馴染みの、いわば時代を超えて受け継がれているもので「トナーレ」の新しい顔にもよく似合っている。

その下の左右に繋がるエア・インテークは開口部を、既存の長方形型から特に上方向に引き上げて拡大。またこれらの変更に伴い、全長は10mmほど短縮されている。結果、ボディ・サイズは全長4520mm、全幅1835mm、全高1600mmとなった。改良前よりもよりシャープかつ筋肉質で、ワイルドなイメージになったのはこのマスクの絞り込みと、左右それぞれ4mmのワイド・トレッド化(ただしフェンダーやサスペンション・アームは拡幅されておらず、ホイールのオフセット変更によるもの)が効いているのだろう。

このぐっと張り出したように見える“ヴェローチェ”という上位グレードのホイールもまた「33ストラダーレ」から着想を得たもので、3つの円を組み合わせた特徴的なものである。
「トナーレ」のパワーユニットはこれまではプラグイン・ハイブリッドとマイルド・ハイブリッドの2本立てだったが、新型は今のところ1.5リットルの直列4気筒ターボ+モーターの後者のみ。エンジン、モーターの最高出力はそれぞれ160psと20psで、システム出力は175psに達する。7段のデュアルクラッチ式自動MTを介して前輪を駆動と、パワートレインのメカニズムに関して変更はないが、制御のブラッシュアップが行われ、0-100km/h加速は8.8秒から8.5秒へと短縮。これはエンジン自体の可変バルブタイミングの調整、モーターとの協調制御の見直し、シフト制御の最適化などによる成果で、スムーズかつ意のまま感のある走りを得たという。

ボディ・カラーは人気のイメージ・カラーである展示車のブレラ・レッドと、これまでも用意されたアルファ・ホワイト、アルファ・ブラック、ヴェスビオ・グレー、そして新たに加わったモンツァ・グリーンの計5色。

グレード展開はエントリー・モデルの“スプリント(599万円)”と“ヴェローチェ(653万円)”の二本立てとなる。前者がファブリック・シートや18インチ・ホイールが標準なのに対し、後者は従来のブラック・レザー内装に加えて(外装色により設定のない場合もあるが)レッド・レザー内装と20インチ・ホイールの組み合わせとなる。
「33ストラダーレ」譲りの専用色とシリアル・ナンバーのスティッチ
いっぽう「トナーレ」の横に並んだ「ジュリア」は、SUVの「ステルヴィオ」と合わせても全世界でわずか63台の限定車“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”のうちの1台だ。

1923年のタルガ・フローリオで幸運のお守りとしてドライバーのウーゴ・シヴォッチが車体に描いたのがはじまりとされる伝統の四つ葉エンブレムを冠したこのリミテッド・モデルの日本上陸分の内訳は、「ジュリア」が11台(うち左ハンドルが7台、右ハンドルが4台)、「ステルヴィオ」が2台(右ハンドル)のわずか13台のみ。とはいえ全体の約1/6が日本へやって来るわけだ!

なお63台という数字は、この四つ葉が初めて冠された市販モデル「ジュリアTiスーパー」の誕生年である1963年にちなんだものだ。
ボディ・カラーは発表会場の写真だと分かりにくいが「トナーレ」のブレラ・レッドとは異なる旗艦車「33ストラダーレ」のロッソ・ヴィラ・デステをもとに再構築された専用のコレツィオーネ・レッドで、より深みのある濃赤色となっている。「ジュリア」ベースの“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”はルーフがカーボンとなるのもトピックだ。

さらにインテリアにはドア、中央アームレスト、インストゥルメント・パネルに赤のスティッチが加わるほか、ヘッドレストには“コレツィオーネ”のロゴと、なんと車両ごとのシリアル・ナンバーが入るという。“33”など特定の希望ナンバーを入れたい願うファンは多そうだが、残念ながらこの数字の指定はできないそうだ。

2.9リットルのV6ツインターボ・ユニットは燃料噴射方法を従来の単体直噴式から直噴とポート噴射を組み合わせたデュアル・インジェクション化が施され、さらにキャリブレーション変更、ECUマッピング最適化などにより、「ジュリア」ベースの“クアドリフォリオ・コレツィオーネ”の最高出力は従来比10psアップの520psに達している。なお、このパワーアップは「ステルヴィオ」では実施されていない。
価格は「ジュリア・クアドリフォリオ・コレツィオーネ」が1963万円、「ステルヴィオ・クアドリフォリオ・コレツィオーネ」が2010万円だ。

多くのファンは、アルファ・ロメオが掲げた一時の急激な電動化に不安を感じていた。しかし今回の「トナーレ」の実のある改良や、限定とはいえ一時はフェイドアウトするのでは、と噂されていた「ジュリア」&「ステルヴィオ」のこうした新作発表のニュースは、心より歓迎したいと思うはずである。
文と写真=ENGINE編集部 写真=アルファ・ロメオ
(ENGINE Webオリジナル)