日産自動車は、米国で生産するSUVの「ムラーノ」を、2027年初頭より日本市場に導入すると発表した。
再び日本に帰ってくる
日産「ムラーノ」は、2002年に初代が登場したクロスオーバーSUVで、元々は北米市場向けに開発されたものの、日本市場への導入を望むユーザーの声が多数あり、それに応える形で2004年から国内でも販売が行われた。

全長4770mm×全幅1880mm×全高1685mmという、当時としては大柄なボディ・サイズながらスタイリッシュなデザインで、国内でもそれなりな人気を獲得。搭載されるエンジンは北米仕様の3.5リットルV6に加え、日本向けとして2.5リットル直4が用意されていた。
2008年には2代目モデルにモデルチェンジ。引き続き日本での販売は続けられたものの初代ほどの人気は得られず、2015年をもって国内販売を終了。3代目モデルからは、これまで通り北米向け(のちに中国も追加)として販売が行われることなった。
そして今回、日本市場に導入が決定したのは、2025年に登場した4代目モデルだ。これは2026年2月に国土交通省が創設した米国製乗用車の認定制度を活用した形で、「ムラーノ」の日本市場での復活は、なんと12年ぶりになる。
VCターボをピュア・エンジンとして味わえる
現行型「ムラーノ」のスペックは、米国日産のサイトによると全長4900mm×全幅1981mm×全高1724mm、ホイールベースは2824mmとなっており、大柄な部類には入るものの、安全衝突基準の厳格化などより自動車全体が大型化しつつある現代では、そこまで非現実的なサイズではないだろう。

そして同車の大きなトピックとなりそうなのは、「VCターボ」のフィーリングをピュア・エンジンとして味わえる、国内唯一の車種となる、ということだ。
VCターボは日産が2016年に世界で初めて実用化した技術で、VC(=Variable Compression)、つまり圧縮比を可変することのできるエンジンだ。

技術的な概要としては、エンジンのピストンとクランクシャフトを連結するコンロッドにリンク機構が設けられており、ピストンのストローク量を変化させることで、圧縮比の変更を実現。圧縮比に合わせて、ターボ・チャージャーの過給圧を変更することで、加速時のパワーと巡航時の経済性を両立することができる、というものだ。
このVCターボを搭載した車種は、日産「ローグ」や、インフィニティ「QX50」など多数存在していたが、日本国内では2022年登場の「エクストレイル」のみ、しかもe-POWERでの搭載だった。
2022年には米国ワーズ社の「10ベストエンジン」を受賞するほどの技術にもかかわらず、日本国内では発電用としてしか味わえない、というなんとももどかしい状態だったのだ。
4代目「ムラーノ」に搭載されるエンジンはKR20DDET型2リットル直4DOHC+VCターボで、最高出力241ps/5600rpm、最大トルク260Nm/4400rpm。これは発電用ではなくれっきとした駆動用だ。
エクストレイルの登場時に「VCターボ・エンジンが駆動用だったら……」という声は少なくなかったが、今回の「ムラーノ」の日本導入によって、その願いが約4年越しに叶えられることとなる。

ちなみに「ムラーノ」のアメリカでの現地価格は4万1670ドル〜(約660万円〜)となっている。日本導入時には、ここからさらに上乗せされることになるとは思うが、唯一無二のVCターボのフィーリングを味わえるとなれば、それだけの価値があるのかもしれない。
文=ENGINE編集部 写真=日産自動車
(ENGINE Webオリジナル)