2026.06.27

CARS

修理代と新車価格がほぼ同じ30年差の新旧2台!!【ヤフオク7万円のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#74】

駐車場に集った新旧フランス車たち。C4で試乗に出るためエグザンティアはこの場で待機。C4とエグザンティアのボンネットとショルダー・ラインの高さの差に注目。

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ヤフー・オークションで落札した7万円のエグザンティア。板金塗装に70万円、部品代と整備に130万円、走り出してからの修理代を合計すると、新車当時の価格を超える勢いだ!! だったらいまの現行モデルの新車も買えるのでは? ……と考えてしまった番外篇。448万円の最新のシトロエンC4マックス・ハイブリッドとエグザンティアを実際に乗り比べてみました。

進化していないところと、受け継いでいるところ


試乗したのは赤と黒のデュオ・トーンのC4マックス・ハイブリッドをベースに、電動開閉式ガラス・ルーフや18インチ・ホイールを装備した特別仕様車“エディション・ルミエール”だ。



“Lumiere”はフランス語で“光”を意味する。奇しくも僕のエグザンティアもガラス・ルーフ付きである。



座ってみると、なんだか既視感があった。C4もエグザンティアも、ステアリングに対してペダルが左へ少しずれている。





フットレストは、どちらも細長く幅が足りない。C4はプラスチック製だからまだいいが、エグザンティアはふかふかなカーペット素材の上にほんのちょっとスペースがあるだけだ。30年経っても、シトロエンの右ハンドルの造りはあんまり進化していないみたいである。



エンジン・ルームを覗くと、ブレーキのマスター・シリンダーも左側のままだった。



でも座ってしまうと、気になるところより好ましい部分がどんどん増えていく。フィアット600やDS3クロスバック、プジョー208と同じプラットフォームを共有しながら、室内にはシトロエンらしい独自性がちゃんとある。タブレット固定用の格納式ステーなどのアイデアも面白い。その上で奇をてらうことなく毎日を共にしても疲れないオーソドックスな操作系は、すごく好ましい。





いちばん気に入ったのはシートの掛け心地だ。座面が大きく、触れたときの印象こそエグザンティアほど柔らかではないが、じんわり変形して身体を支えてくれる感触は似ている。





ちょっと背面を寝かし気味にすると、ピッタリ来るところも同じだ。

6:4の分割可倒式でダブル・フォールディングする後席。



直進性の良さとあたりの柔らかな足まわりもシトロエン的だ。路面が良好な場面でエンジンが止まりモーターのみで走行すると、うねりにそって動くような感触が強調されて気持ちがいい。



ただ、エグザンティアのような、ハイドロ・シトロエンとの違いは明確だ。

あくまでも似て非なるもの

 
ハイドローリック・サスペンションの乗り心地は、以前「どんぶらこ」、で例えられるとある趣味人に教えてもらった。「どん」が衝撃を受けた瞬間、「ぶら」が衝撃をいなしている時間、そして「こ」でスッと姿勢を元に戻す、というわけだ。普通のクルマはたいてい「どっしーん、ぶらぶらぶらぶら……」でいつまでも「こ」がない。

C4は「とっしん、ぶらふら……」くらいで、衝撃はあるが収束時間が短かくすっと収まるものの、やっぱりハイドロのような「こ」という感覚はない。現行シトロエン各車は機械式ダンパー内にセカンダリー・ダンパーを設けてかつてのハイドロの乗り味を再現しようとしている。これはこれで快適なだけど、似て非なるものだ。



首都高速のような金属のジョイントによる段差が連続する場面では、速度を上げるにつれてC4はエグザンティアに比べてやや落ち着きのなさが顔を出す。ステアリングの感触も、油圧式のエグザンティアなら操舵量を「ここ!」と自然にいっぱつで決められるのに対し、C4の電動式は中央位置に固着感があり、どこまで切るべきか探るような感触がある。故障リスクやコスト、電子制御との相性、燃費への影響……油圧システムが現代の要求にそぐわないのは分かっているが、乗り慣れた身にはその差はやはり大きい。

箱根路を行くC4ルミエール・エディション。

いっぽう、パワーユニットはなんだか似ていた。C4はエグザンティア同様あまり強く主張しないタイプで、ステアリング・ホイールにパドルはあるのだけれど、はじいても音も感触もあまり心躍るものにはならない。エンジン・ブレーキは2速まで落とさないとほぼ効かないし、モーター走行時の独特の空走感もある。でもそれらを頭に入れておけば、ほぼ自分の意思通りに、しかも敏感すぎず穏やかに車速を上げ下げしてくれるところは、共通項がある。



加えて、あまり期待せずに向かった箱根の峠道では予想外に楽しめた。
 


大きな入力が連続してもタイヤは路面を離さず、凹凸を「とっしんぶらふら、とっしんぶらふら……」と抜けていく感覚は癖になる。ブラインド・カーブが続くようなところのアベレージは、エグザンティアよりC4のほうが高いのは間違いない。

トータル約250km走らせた実燃費は16km/リットル。エグザンティアの約11km/リットルより5割弱良好だ。近頃の燃料情勢を考えると、ハイブリッドなのだからもう一声伸びて欲しいものだが……。



……という具合についつい重箱の隅をつついてしまったが、毎日を共にする1台として、C4とエグザンティアの差は思いのほか少なかった。もし何らかの理由でエグザンティアと別れる日が来たら、僕は現時点でC4をいちばんの乗り換え候補にするだろう、というのが結論である。
 
でも、まだ別れる日は今のところ来ていないぞ。

さて次回は、いよいよハイドローリック・シトロエンの維持に欠かせない部品を再生する工房がある、東欧リトアニア・カウナス探訪記を再開する。

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2024年5月時点までの支払い総額は309万6773円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万6761km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎 写真=阿部昌也(C4走行シーン)/岡村智明(エグザンティア細部)

(ENGINE Webオリジナル)

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エンジン編集部員がヤフオクで買ったシトロエン・エグザンティアの長期リポート!

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