ツインモーターを搭載したボルボEX30クロスカントリー。北欧の大自然を走破するためにつくられたこのコンパクトSUVで雪に包まれた妙高を走ってみた。
雪道であることを忘れてしまうほどの安心感
ボルボ史上最も小さな電動SUV、EX30で雪降る妙高を走ったのは昨年2月のことだ。一般的に雪道には不向きとされる後輪駆動のモデルをあえて冬の上越で試してみたのだが、こまめなブレーキングを必要としないワンペダル・ドライブの助けもあって、さしたるストレスを感じることもなく、快適なドライブを楽しむことができたのを覚えている。
それから一年後の今年2月、再び妙高の地を訪れた。今回、試乗するのもボルボのEX30。だが前回と異なるのは、同じEX30であってもクロスカントリーの名を冠したツインモーターのモデルであることだ。

雪景色に包まれた当日の外気温は約2度。風はひんやりと冷たかったが、晴天に恵まれたこともありさほど寒さは苦にならない。集合場所に置かれていたクロスカントリーは、フロントマスクとテールゲートがマットブラックな仕上げになっており、SUVらしい精悍な輝きを放っている。
だが北欧のミニマリズムを体現したかのようなインテリアは通常のEX30とあまり変わらない。運転席の前にメーターパネルはなく、ほぼすべての情報は、ダッシュボードの中央に設置された12.3インチの大型ディスプレイに表示される仕組みだ。

さっそく運転席に乗り込み、上越高田ICから上信越自動車道で黒姫方面へと向かった。昨年と同じく冬の上信越道にはところどころ穴ぼこやひび割れが目立っていたが、クロスカントリーはそんな悪路も自然といなしながら、穏やかな走りを楽しませてくれる。
だがこのクルマの実力はそれだけにとどまらない。ツインモーターを搭載するクロスカントリーはフロントの最高出力が156ps、リアが272ps、0-100km /hの加速はなんと3.7秒で、高速道路でアクセルペダルを踏みこめば、コンパクトSUVとは思えないほどの鋭い加速を見せてくれるのだ。

そんなスポーツ・ドライブをしばし楽しんだ後、除雪されていない一般道に降りる。そこから向かったのは、サウナ付きのコテージが大きなため池を囲むように点在するプライベート・ホテル。気持ちのいい雪景色を堪能してから、ふたたび高速に乗って帰途についた。
およそ3時間のドライブだったが、実は運転中、雪道を走っているという感覚はほとんどなかった。というか正直、忘れていた……。
後輪駆動のEX30では、雪道を発進する際、後輪が一瞬グリップを失い、車体の後ろがわずかに横に振れるような感覚があったが、そういう不安定な挙動が一切ない。ツインモーターのAWDによって、雪深い路面でも発進時のトラクションが常に安定しているのだ。また最低地上高も通常のEX30より20mm引き上げられているので、轍のある路面でも余裕をもって走ることができる。

雪道における安定性という意味では、試乗車が履いていたフィンランド生まれのスタッドレスタイヤ、ノキアン・ハッカペリッタ R3 SUV(235/50R19)も少なからず寄与したことだろう。
北欧の大自然の中を走破できるモデルとして、クロスカントリーの名前がボルボ車に与えられたのは1997年のV70XCから。そこから脈々と受け継がれてきた歴史と技術は、電気自動車の時代になっても健在なようだ。

■ボルボEX30クロスカントリー
駆動方式 前後モーター4輪駆動
全長×全幅×全高 4235×1850×1565mm
ホイールベース 2650mm
トレッド (前/後) 1590/1595mm
車両重量 1880kg
モーター最高出力(前/後) 156ps/6000-6500rpm/272ps/6500-8000rpm
モーター最大トルク(前/後) 200Nm/5000rpm/343Nm/5345rpm
トランスミッション 1段固定
サスペンション (前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション (後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) ディスク
タイヤ(前後) 235/50 R19
車両本体価格(税込) 649万円
文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也
(ENGINE2026年5月号)