2026年上半期イチオシのニューモデル33台にそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開している恒例の「エンジン・ガイシャ大試乗会」のリポート。今回は自動車評論家の清水草一さんが試乗した、5台のインプレッションを一挙紹介!
アバルト500eツーリズモ・ハッチバック「刺激と安寧」
欧州は自動車発祥の地。電動化を進めているが、内燃エンジンへの郷愁は捨てがたいはずだ。
アバルト500eは、癇癪玉のような加速のBEVでありながら、内燃エンジンそのものとも言うべきエグゾースト・サウンド(名称は“レコードモンツァ”)を発する。しかもそれは、車内のスピーカーからではなく、わざわざ車外後方床下に設置された、かなり巨大なスピーカーから発せられる。これぞいい意味でのバカ!

レコードモンツァONで走り出すと、かなり強烈なサウンドゆえ、次第に静寂が恋しくなった。OFFにしようと試みたが、操作が複雑でおいそれとは行かない。スマホで検索し悪戦苦闘の末、ようやく訪れた静寂は、それはそれは心安らかなものだった。
この安寧は、レコードモンツァの強烈な刺激あってこそ。たまにONにすることで、BEVの静粛性のありがたみが倍加するという仕掛けだ。それにしてもこの操作、もうちょっと簡単にしてもらえないかと語り合いつつ、車内はほのぼのと笑いに包まれた。
BMW M5ツーリングM xドライブ「素晴らしいエンジン」
M5ツーリングの助手席に同乗されたEPC会員のAI氏は、ディープなBMWファン。現在、新車のアルピナをオーダー中だ。
一方の私は、実用的でフツーっぽい動力性能のBMW(例えばディーゼル)が好みだが、M5ツーリングのパワーユニットには、完全にノックアウトされた。同系統のPHEVを積むXMの653馬力/800Nmでも「狂ったか!?」と叫びたいほど速かったが、M5はその上を行く727ps/1000Nmなのだ!

加速車線でアクセル・ペダルを踏み込むと、ものすごく簡単に、そのスーパーすぎるパフォーマンスが完全に発揮される。あまりにも安心安全ゆえに、「1000Nmってこんなもん?」と思ってしまう。むしろXMのほうが速く感じたのは、M5の視点の低さや超絶級のスタビリティのなせる業か。
「素晴らしいエンジンですね」。AI氏はしみじみとおっしゃった。本当に素晴らしいエンジンだ。モーターやバッテリーの存在など、我々は完全に忘れていた。