2026年上半期イチオシのニューモデル33台にそれぞれ5人のジャーナリストが試乗した、計165本のインプレッションを順次公開している恒例の「エンジン・ガイシャ大試乗会」のリポート。今回は自動車評論家の関 耕一郎さんが試乗した、5台のインプレッションを一挙紹介!
アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ「まるで3段ロケット」
最高出力835psは運転したクルマの自己記録更新ながら、走り出しはいたってジェントル。右足に力を込めれば強烈なダッシュを決めるけど、予測の範囲内。ところが、不意に踏み込んだ瞬間、頭をヘッドレストが打つ。まるで3段ロケット。本能が叫ぶ、コイツで平地はヤバいと。2段目に着火するか否かにセーブして、長い急勾配の峠道を目指す。そびえる壁のような直線ならマシかと全開で突入するが、離陸どころか発射されて大気圏を突破しそうな勢いに恐怖すら覚える。

最初のコーナー手前でスロットルを戻し、手近な駐車スペースで小休止。
このクルマがヴォランテだったことを思い出し、屋根を開け、山の空気を胸いっぱいに吸い込んで、来た道を戻る。ご褒美のはずのドライブがお仕置きにならぬよう、スロットル控えめで。紳士的に走れば、ワインディングのダウンヒルを優雅に駆け抜ける。
ジキルとハイドと超人ハルクが同居するクルマ、それをキルケーのごとく自在に操るにはまだまだ未熟なドライバーをたしなめるように。
BYDシーライオン6「ありかも、BYD」
BEVのシーライオン7は、走りと高級感に目を見張った。PHEVの6はその弟分的な存在で、内装は幾分カジュアルな仕立てだが、プレミアムブランドもかくやという品質は共通。BYDがスーパーハイブリッドと呼ぶPHEVシステムは、100kmに及ぶEV走行に主眼を置き、モーターをエンジンがサポートする。そのため容量大きめのバッテリーを積むが、フロアに敷き詰めるレイアウトで、BEVのような低重心感がある。

同乗したEPC会員さんはイタリアの背の低いエンジン車がお好みで、中国の電動SUVはかすりもしないものの、安定感や力感、質感と、そのわりに抑えた価格は印象に残ったよう。「サスペンションがよく動いていますね」との感想も口にされていた。
かくいう自分も、アメリカンマッスルや英国スポーツが好きでありながら、仕事で乗ったドイツのスポーツセダンに心奪われ手に入れたりするのだから、クルマは合縁奇縁。一期一会を楽しむのも悪くないもの。思わず口にしていた。「ありかも、BYD」と。