熱心な自動車趣味人であれば、新車販売時にはピンとこなかったが、いま見るとカッコいいとカテゴライズできるクルマが一台や二台はあるはずだ。国内外のクラシック・カーや新旧のスポーツカーといった趣味性が強いクルマの個人売買サービスを提供しているエンスーの杜がオートモビルカウンシル2026において展示した1990年型「サーブ900ターボ16カブリオレ」は、そのカテゴリーに入るクルマといえるのではないだろうか。ブースの前を通りかかったときに、あれ、クラシック900って、こんなにカッコよかったっけ? と思い、人だかりが増える前に取材させてもらった。
36年前に新車で購入して以来ワンオーナーのサーブ900!
個人オーナーからの継承というストーリーを訴求しているエンスーの杜のスタッフによると、当車はベテラン・ドライバーが夫婦で乗っていたクルマで、1990年に新車で購入。ということで、大変稀少な新車からのワンオーナー車であった。

当時は日本経済がバブル景気に沸いていた時代で、サーブ 900のカブリオレ仕様はオシャレで個性的なプレミアム・オープンカーとしてアッパー層から人気だった。

注目度の高さを追い風とし、メルセデス・ベンツの190シリーズやBMWのE30/E36型3シリーズよりも販売価格が高かった。36年前に当車を購入したオーナーのセンスのよさにはただただ脱帽である。

内外装が驚くほどキレイなので低走行車か? と思い、オドメーターを確認したら、総走行距離は15万kmオーバーだった。

この点についてもエンスーの杜のスタッフに確認したところ、主に高速道路を走り、自宅と別荘との間を往復するハイウェイ快適エクスプレスとして使っていたのだという。


そのため、野太い排気音を奏でるターボ・エンジンの調子はよく、いまでもクルマ全体がイキイキしているのだ。これほどまでに状態がいい「サーブ 900ターボ16 カブリオレ」を継承できる機会は珍しく、まさにクルマの個人売買でサービスを提供しているエンスーの杜ならではの出物だといえるだろう(自動車税、リサイクル料金は別途必要。名義変更は自分でやるのが基本で、不慣れな場合、サポートしてくれる)。

サーブは、もともとスウェーデンの航空機メーカーとしてスタートした。第二次世界大戦後の需要低迷を見越して自動車部門のサーブ・オートモービルを設立。最初の市販モデルとなった「サーブ92」の生産を1949年に開始した。
「92」という車名になったのは、サーブが民間用製品として4輪車と同時期に開発した小型双発旅客機が「90スカンディア」、練習機が「91サフィール」という機種名だったからで、それに続くプロジェクトということで必然的に「92」となったのだ。
サーブ 900の前後オーバーハングが長い独特のプロポーションや、防寒手袋をつけたままでもスイッチ類を操作しやすいようになっている内装の意匠、十分な強度を確保するためにドアの内側にあるサイドシル、前方にスライドして大きく開くボンネットなどからも、航空機メーカーだったサーブらしさを感じられる。

会場内で付けられていたプライスは264万円。サーブがサーブらしかった最後のモデルだといえる“900”は、いまこそ乗りたい北欧車の雄だ。
文と写真=高桑秀典 編集=上田純一郎
(ENGINE Webオリジナル)