東京・銀座の旧首都高速道路を舞台に、2026年3月14日(土)に開かれた空冷ポルシェの祭典、「LUFT TOKYO」(ルフト東京)。2025年の春に廃線となった東京高速道路KK線の上には、220台以上の歴代ポルシェと約1万1600人の来場者が集った。
空冷911の後篇
東京の空の下に突如出没した1日限りのポルシェ・ミュージアム。元首都高速道路の上には空冷モデルを中心に多様なポルシェが展示された。そんなルフト東京に展示されていた車両のほぼすべてを写真で紹介する今回の企画の第4弾は、964型から空冷の最後を飾った993型まで、空冷911の後篇ともいえるモデルたちを画像とともにその歴史を紐解いてみたい。
1989年にカレラ4から登場
カーマニアの間でGモデルと呼ばれることもあるビッグバンパー時代の911シリーズは1989年に生産終了となった。それと同時に導入されたのが新世代モデルの964型911で、911シリーズならではの伝統的なフォルムが継承されたものの、電子制御式フルタイム4WDシステムを採用した4輪駆動バージョンの911カレラ4では85%のパーツが新しく設計されていた。
1990年モデルからは最初のティプトロニック搭載車となる後輪駆動仕様の911カレラ2が登場し、さらに1991年モデルから911ターボも新型に変更された。
ルフト東京では、自然吸気エンジン仕様のクーペ、タルガ、カブリオレ、スピードスター、RSが勢揃い。911ターボは1991年と92年モデルの3.3リッターターボエンジン仕様と1993年モデルの3.6リッターターボエンジン搭載車の競演となり、レッド・ブレーキキャリパーをはじめとするディテールの違いを確認することができた。
993ではスタイリングも刷新
空冷911シリーズのラストモデルとなった993型は、964型911シリーズとバトンタッチするかたちで1994年モデルから導入された。ビッグバンパーから964型911への移行時はプロポーションが踏襲されたが、993型911はエクステリアデザインを刷新。メカニカルなパートだけではなく、スタイルも大きな進歩を遂げた。
具体的にはフロントフェンダーがよりワイドかつフラットな形状となり、ラゲッジコンパートメントリッドが短くなった。そのため、ビッグバンパーと964型911が装備していたボディとフロントバンパー間のブラック・ラバーリップは取り除かれた。リアフェンダーも拡大され、それまでのモデルよりもテールライトが高めに設置されるようになった点も993型911の特徴となる。
993でタルガが生まれ変わる
993型911は当初、後輪駆動のクーペとカブリオレが登場。1995年モデルでターボ、RS、ビスカス式マルチプレートクラッチを採用した4輪駆動仕様のカレラ4がラインナップされ、1996~97年モデルでカレラ4SとカレラSが新たに追加設定された。
大型電動スライディングルーフを初めて採用したタルガは1996年モデル以降に生産され、着脱式ソフトトップ時代に採用していたロールオーバー・バーが無くなった。
ポルシェ・コレクター垂涎の的
911ターボとして初めてツインターボチャージャーを採用した993型911ターボは、4WDシステムを搭載した最初のターボモデルでもあった。911ターボと911ターボSという2グレードで、1995年から98年の間にわずか5000台強が生産されただけだったので、いまやポルシェ・コレクター垂涎の貴重な存在となっている。
1995年モデルで大型リアスポイラーを備えた911ターボ カブリオレがポルシェ・エクスクルーシブによって14台ほど限定生産されたといわれており、こちらは滅多に流通しない“お宝”だといえるだろう。
ルフト東京では、993型911のカブリオレとタルガの雄姿を確認できなかったが、964型911のそれとは明らかに異なるクーペの佇まいを楽しませてもらった。ビッグバンパー時代からの流れを汲む964型911は古典的で、993型911は新しいデザインのポルシェだと思ってきたが、東京高速道路KK線に置かれた993型911をじっくり眺めていたら十分クラシカルだった。どちらも永遠に魅力的だ。
文=高桑秀典 写真・編集=新井一樹
(ENGINE WEBオリジナル)