2026.08.02

CARS

DSオートモビルの新たなフラッグシップ「N°8」に乗る|往年のシトロエンを彷彿とさせる独特のライド・フィールは必見

DSオートモビル「N°8」に試乗した。

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2024年末の仏本国でのお披露目から約1年半。ようやく日本で発売になったDS N°8に、いよいよ乗る機会を得た。いわばかつてのシトロエンXMやC6、DS 9のような旗艦車の仕上がり具合やいかに。

目指すところが違う

悠々たるサイズ。何者にも似ていない見た目。そして、身体をよじらせるようにしてうねりをトレースしていく挙動に、つい声が出る。

「うん、そうだよこれなんだよなぁ。やっぱり、そうこなくっちゃ!」

車体下部をブラック・アウトさせて上下方向の厚みを視覚的に薄めてはいるが、5ドア・ハッチバックのサルーンというよりクーペSUV的なスタイリング。

ここ数年、いちばん乗りたいと思っていたDSオートモビルの旗艦モデルN°8は、心より所有できるひとを羨ましい、と思える1台だった。過去にシトロエンの旗艦XMやC6をそれぞれ買い損ねたこともあったくらいだから、ある程度は自分でも好みのタイプだろう、と想像はしていたが、いやはや期待を超える吸引力の持ち主である。純粋な電気自動車に対し、ここまでの憧れを抱いたことは、僕はこれまで、ない。

とにもかくにも、まず見た目にやられる。ひとことでいえばフューチャリスティック。外観はほぼ2023年登場のショー・カー“エアロ・スポーツ・ラウンジ”そのものだ。輝くDSのロゴを取り巻く、グリルの代わりのストライプの光が流れるように瞬くルミナス・スクリーンは同じく2024年の“SMトリブート”とも共通項がある。

中央コンソール、エンブレム、ルミナス・スクリーンと呼ぶグリル部の輝きは悪目立ちせずかつ強いインパクトがある。

今どきの光るスリー・ポインテッド・スターやキドニー・グリルと同じ主張の仕方ではあるのだけれど、斬新かつ独自性が強すぎて、逆に嫌みがなくてキライじゃない。現在DSデザインを牽引しているティエリー・メトロズはかつてルノーでアヴァンタイムに関わったそうだが、N°8もまた同じような正体不明感が、すごくいい。

DSオートモビル「N°8」

ショルダー・ラインからぐるりと上面によけいな凹凸がない視認性の高い室内前面は、革とシルバーと差し色の明るいゴールドが支配する、これまた美しくも我が道をいく世界だ。無難かつ安く仕上がるピアノ・ブラックだらけの世のクルマとは雲泥の差。X字型スポークのステアリングは9時15分のところの太めのグリップとそのやや下に掌を添えると絶妙に操作しやすく、往年のシトロエン操作スタイルを連想させる。

室内の仕立ては何者にも似ていない独自の世界。

逆にシートは見た目こそ平板かつ細みだが、現代のクルマとしては掛け心地は極上である。自分のものにしたら運転席こそがもちろん最高の居場所だろうけれど、ときには誰かに託し後席も味わいたい、と思わせるところも、XMやC6みたいだ。

DSオートモビル「N°8」

ドライブ・セレクタに走行モード切替、音量増減と機能オンオフ、基準画面の復帰といったすぐ必要なものは、中央コンソールにシンプルかつ美しく光るバー型のボタンへ。そのすぐ上のスイッチ群も含め、操作に迷うことが一切ない。あるべきものが、あるべきところにある感じ。華美ではあるが、見事に全部が全部、デザインのためのデザインじゃない。機能ありきなのである。

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