11代目ホンダ・シビックに今年6月に加わった「e:HEV RS」に公道で乗る機会を得た。プレリュード譲りの「Sプラス・シフト」を得た走りはどうか。本誌ムラカミがリポートする。
バーゲン・プライス!?
すでにシビックには6速MTを搭載した内燃機関モデルの「RS」、そして電気式CVTを搭載したハイブリッド・モデルの「e:HEV EX」がラインナップされており、現在の価格はそれぞれ448万8000円と444万9600円となっている。それに約20万円を足しただけの465万9600円でこれが買えちゃうなんて、今どき珍しいバーゲン・プライスじゃないの、と本気で思えてしまうくらいに、新しい「e:HEV RS」の走りは素晴らしかった。いきなり結論めいた話で恐縮だが、掛け値なしに言って、太鼓判をポンポンポンと3つ押したくなるほど気持ちいい走りっぷりに、私は心底、感動したのだ。

その走りの気持ち良さを演出するキモになっているのは、昨年復活したプレリュード譲りの「HONDA S+ Shift」というシステムだ。電気式CVTでありながら、あたかも有段変速機を搭載しているかのようなシフト・フィールと駆動レスポンスを持つ、言ってみればゲーム機のようなギミックなのだが、使ってみると、全く違和感がないどころか、まるで内燃機関にギアボックスがついたスポーツカーとしか思えない運転感覚をもたらしてくれる。それがさらに進化して、よりダイレクト感が増し、音も大きくスポーティな味付けになって、この新型には搭載されている。

他にも既存のハイブリッド・モデルであるEXとの違いは多い。足回りをRS専用のスプリングやダンパー、スタビライザーの剛性を上げたものに変更し、ロール剛性が11%アップしているという。また、ステアリングのトーションバーレートも60%上げて、よりシャープでダイレクト感のある操舵感を実現している。

さらに外観でも、フロントのガーニッシュやヘッドライトリングをブラックにしてスポーティさを演出。足元も18インチの新開発のグッドイヤー製RS専用タイヤとマットブラック・ホイールで引き締めてある。内装もブラックを基本に赤いステッチやストライプをうまく使っており、これまたプレリュード譲りのメタル・パドルの付いたステアリングホイールも含めて、いかにも走りのモデルという雰囲気を醸し出している。

しかし、何よりも大きな感動は、走り出してからやってくる。固められた足回りは乗り心地を全く損なっていないどころか、接地感や安定感が上がったことで、むしろ快適になったようにさえ感じるほどだ。ハンドリングはFF車としては抜群にいい。アンダーステアやトルクステアは皆無で、切れば切っただけ曲がってくれるのが、すこぶる気持ちいい。

「S+ Shift」をオンにしなくても、十分に乗り味の良さを味わえるのだが、ひとたびオンにすれば、楽しみはさらに何倍にも広がっていく感じだ。オンにしてからもスポーツ、GT、コンフォートが選べたプレリュードと違い、こちらはスポーツ固定で、あとはドライバーの運転スタイルによってクルマが自動的にシフト感やサウンドを変化させるようになっている。全体的にメリハリが効いていて、スポーツ志向が強いのが特徴だ。

617万9800円のプレリュードと比べると、なんと150万円安! それでこの走りが手に入るとは。家族持ちの走り好きにはうってつけの1台だ。
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=神村 聖
ホンダ・シビックe:HEV RS
駆動方式 フロント横置きエンジン+2電気モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4560×1800×1415mm
ホイールベース 2735mm
車両重量 1470kg
エンジン形式 2.0L直噴アトキンソンサイクル
エンジン最高出力 141ps/6000rpm
エンジン最大トルク 182Nm/4500rpm
電気モーター最高出力 184ps/5000-6000rpm
電気モーター最大トルク 315Nm/0-2000rpm
トランスミッション 電気式CVT
サスペンション(前)マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 235/40R18
車両本体価格(税込み) 465万9600円
(ENGINE Webオリジナル)