最新版の320iエクスクルーシブと420iクーペMスポーツに菰田さんが試乗!
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操作に対して忠実に動くこの50:50を実現するためにタイヤの配置だけでなく、重いバッテリーをトランク内に移し、ボンネット内の縦置きエンジンをバルクヘッドに押し込むように後ろに搭載するなど、大きな努力を払っている。
シートもかなりドライビングを意識したものになっている。Mスポーツのセミバケットになっていない320iのノーマル・シートでも、腰の収まりはピチッと決まり、身体をフィットさせて押さえてくれる。さらにハンドルを左手で9時から右に切る、右手で3時から左に切るという操作のときに、ステアリング・リムを前に押すように操作するとシートバックがしっかりと肩を支えてくれるので切りやすい。このときバックレストがソフトで肩が後ろに沈み込んでしまうと、思うように操舵できない。スポーツ・ドライビングでなくてもドライバーの操作がクルマに正確にフィードバックされるように創ってあるのがBMWなのだ。この点では、ほぼスポーツカーの領域に入れても良いのかもしれない。最近よく、BMWのステアリング・リムが太過ぎるという意見を聞くが、BMW流のステアリング・ワークをマスターすれば問題ない。リムをギュッと握って持つのではなく、手のひらで前に押すように持つのがコツ。指はリムの裏側に軽く回しておく程度。リムを前方に押しながらハンドルを切っていく動作なら、リムが太い方がやりやすいということが理解できるだろう。正しいドライビング・ポジションが前提になるのだが……。
さて、最新版の320iエクスクルーシブと420iクーペMスポーツはどうだったか?320iでMスポーツではない17インチ・タイヤを履いたノーマル・サスペンション仕様はなかなか珍しい。実は5年経った我が家の320iも17インチのノーマル・サスで快適に乗っている。最新の320iはカーブド・ディスプレイと新しいOSが入っただけでなく、走りもビシッと締まって良い感じに仕上がっている。BMWは新型車の開発チームと、新型をローンチしたあとに改良するためのチームがもう一つあって、半年と言わず、スペックに現れない改良を進めているという。エンジニアは個性、特性に合わせてチームに配置されると聞いている。これがなかなかいい仕事をしているようだ。
420iクーペMスポーツは2ドア・クーペのしゃれたクルマで19インチを履く。それでもこれはランフラットではないので意外と快適だ。どちらもエンジンはB48B20Aの直列4気筒2リッター・ターボである。これがターボラグは小さく、太いトルクを有効に使いながら加速していくのが楽しい。アクセル・ペダルの動きに緻密に反応し、絶対的な速さはMに譲るとしても、十分スポーティな走りが可能だ。4気筒でフロントが軽くできるのもハンドリングのメリットになる。BMW AGの半分以上の株を持つクワント家の監視は厳しい。運転して楽しいクルマを創らないとボードメンバーは即刻クビになると言われている。そして、それを売りまくって利益を出す使命がある。だから首脳陣は楽しくて売れるクルマを必死で創ろうとするのだ。カタチは4ドア・セダンだからこそ、中身にスポーツカー以上の素質を感じる320iが魅力的に見えた。
文=菰田潔 写真=望月浩彦■BMW320iエクスクルーシブ駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動全長×全幅×全高 4720×1825×1440mmホイールベース 2850mm 4775mm×1850mm×1395mm車両重量(車検証) 1570kgトレッド(前/後) 1575/1590mmエンジン(モーター)型式 直列4気筒DOHCターボ 1585/1590mm排気量 1998cc最高出力 184ps/5000rpm最大トルク 300Nm/1350-4000rpmトランスミッション 8段ATサスペンション(前) ストラット/コイルサスペンション(後) マルチリンク/コイルブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスクタイヤサイズ 225/50R17車両本体価格(税込) 686万円■420iクーペMスポーツ駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動 全長×全幅×全高 4775mm×1850mm×1395mm ホイールベース 2850mm 車両重量(車検証) 1570kg トレッド(前/後) 1585/1590mm エンジン(モーター)型式 直列4気筒DOHCターボ 排気量 1998cc 最高出力 184ps/5000rpm 最大トルク 300Nm/1350-4000rpm トランスミッション 8段AT サスペンション(前) ストラット/コイル サスペンション(後) マルチリンク/コイル ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ (前)225/40R19、(後)255/35R19(試乗車) 車両本体価格(税込) 694万円(ENGINE2024年12月号)
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