スポーツカー・ファンの多くはクルマに乗り込んだらまず、シート・リフターを操作してもっとも低いポジションに合わせてみるもの。自分もかなりのロー・ポジ好きだが、ミニ一族はどれもペタンと地面にお尻を落としたぐらいに低く構えられるから大好きだ。ハンドリング以前に、こんなところもゴーカート・フィーリング。座るだけでドライバーの心にポッと火が灯るのである。昨年のマイナーチェンジ以降のミニ5ドアは、なんだか乗り心地が洗練された印象を受けるけれど、ステアリングを切り込めば間髪入れずにノーズが反応するミニらしさは失っていない。
普段乗りでは従順だけれど、ワインディングで一度鞭を入れれば待ってましたとばかりに嬉々としてコーナーへ切れ込んでいくのだ。最近はトルコンATが進化してスムーズな上にダイレクト感や素早い変速をみせるから、もうDCTが活躍する場面は少ないのかと思っていたが、ミニのヤンチャな気質にはピタリとあっていた。ゴーカート・フィーリングの切れ味を鋭くしているのだ。
オリジナルのクラシック・ミニもそうだったけれど、現在のBMWミニも、自己主張の強さではクラス随一だといっていい。現行の3代目はボディ・サイズもかなり大きくなっちゃったので、Bセグメントに当てはめるのが適当かどうかは難しいところだが、同カテゴリーのハッチバックのなかで最も存在感の強いクルマだといって、間違いはないはずだ。エクステリアもインテリアも、好みは分れるだろうが、明確な自己主張にあふれている。5ドアなんてオリジナルのミニにはなかったけれど、それでもミニらしくまとめてあるスタイリングはホメるべきだろう。
どこから見てもミニ、誰が見てもミニ。もうひとつ重要なのはそのドライビング感覚だが、それに関してもゴーカート・フィールと呼ばれるミニらしい手応えが、ボディが大きくなったにもかかわらず維持されている。ガッチリしたステア・フィールと、その素早い反応。僕が乗っている二代目BMWミニのクラブマンに比べると乗り心地が硬いが、それもまたミニらしいといえばらしいか。
〔読者コメント〕
●小さく軽いキビキビとした走りがとても良かった。(一木太郎さん)
●ロールをおさえて、クイッと曲がるカート感覚が良い。(三縄将丈さん)
●5ドアでもミニはミニ。振り回して乗っても安定していて楽しかったです。(小川憲一さん)
●とてもスポーティ。サウンドも楽しく、運転がエキサイティングなものになりそう!(長藤憲司さん)
●スイッチ類がかっこいい。(田渕貞吾さん)
●内装がすべて丸みを帯びていてかわいいです。(菅沼育子さん)
●コンパクトで街乗りも峠も楽しいと思います。(山野 平さん)
●内装、外装のかわいらしさが最高。見た目とは違いスピード感と力強い走りが魅力。(長藤貴世江さん)
2018年の改良で前後ライト(フロントLEDが丸型に、リアLEDはチェッカー・フラッグ型に)を変更。同時にガソリン・エンジン搭載モデルは6段ATから7段デュアルクラッチ式自動MTに変更された。ボディ・タイプは試乗車の5ドアのほか、3ドアやコンバーチブルも用意される。今回は上位グレードのクーパーSを選択。フロントに横置きされる2ℓ直4ターボ・ユニットは最高出力192ps/5000rpm、最大トルク28.6kgm/1350-4600rpmを発揮。7段自動MTを介して前輪を駆動する。全長×全幅×全高=3860×1725×1430㎜。ホイールベース=2495㎜。車両重量=1280㎏。車両価格=388万円。
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写真=茂呂幸正(メイン)/鈴木 勝(サブ)
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