3月に編集部にやってきたジープ・ラングラー・アンリミテッド(Jeep Wrangler Unlimited Sahara)。2カ月間で2400㎞を走行した。主な使い方は都内片道9㎞ほどの通勤である。都心の運転に見晴らしのいいジープ・ラングラーはありがたい。都内中心部の交通量は多く、客を見つけたタクシーがいきなりハザード・ランプを点けて減速したり、地下鉄工事のために車線が絞り込まれたり、車道を走る自転車が駐車車両を避けて大きく膨らんできたりと、混沌としているからだ。
ジープ・ラングラーなら前走車の屋根越しに先の道路状況がわかるので、余裕をもって車線変更が出来る。また、やむを得ず急に車線変更しなければならないときの動きも安定している。ジープ・ラングラーはすこぶる低重心なのだ。そんなおかげで、取り回しで苦労したことはまだない。全長4870㎜×全幅1895㎜×全高1840㎜という巨体ながら、見た目よりずっと扱いやすいジープ・ラングラーである。
とはいえ、ジープ・ラングラーで都内ばかりをチョコチョコ走っていると、これでいいのか?と自責の念にかられる。「これなら世界一周だって出来る」と思わせるほど、高い悪路走破性を持っているので、宝の持ち腐れ感がぬぐえないのだ。たまには自然のなかを走りたい。トランクにアウトドア用品とギターを積んでデイ・キャンプに出掛けた。都内ばかりを走っているので、副変速機は2H(FR)に入ったままだ。高速道路に入るとドライブ・コンピューターが表示する平均燃費がどんどん良くなっていく。2ケタ燃費まであと一息というところで河口湖インター出口となった。
富士山麓の一般道をゆったりと進む。真骨頂はこういう場面での乗り心地だ。荒れた路面の段差を超えるとリジッド・サスによる突き上げがあるけれど、先代よりはるかにカドが取れた。また、それによってボディがギシッと悲鳴を上げることもなくなった。走行安定性と快適性の向上が著しいと思う。
キャンプ場に入ると、道はダートになり路面の凹凸も大きくなった。ジープ・ラングラーに乗っていると、こういう場面が嬉しい。大きな穴が開いていたり、水たまりを見つけたりすると、余計にワクワクする。主戦場に来た感じがするのは、世界の道なき道を駆け巡った軍用ジープの末裔だからに違いない。草原の一角にジープ・ラングラーを停め、簡易テーブルや椅子を並べた。写真を見ていただければ一目瞭然、カッコイイ! やはり野に置け蓮華草である。
ロッヂ社製のグリルパンで豚肉を焼いた。焼く前に塩コショウを振っただけの極めてシンプルなポークソテーである。グリルパンには焼く面に凹凸があり、それが香ばしくかつジューシーな焼き上がりにする。おまけに雄大な景色、清涼な空気というおかずのおかげで、めちゃくちゃ旨い! 調子に乗ってアコースティック・ギターをかき鳴らした。ジープ・ラングラー、グリルパン、そしてアコースティック・ギターの相性がとてもいいのは、どれもシンプルでプリミティブな道具なのに、与えてくれる喜びが大きいからだ。
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.16
ニスモはメーカーによる抽選販売 日産フェアレディZが受注を再開するとともに2025年モデルを発表
2024.11.16
【詳細解説】320iセダンと420iクーペがドライバーズカーである理由を、自動車評論家の菰田潔が語る なぜBMWは運転が楽しいクルマの大定番なのか?