『明日に向って撃て!』(69)の成功で世界的なスターとなったロバート・レッドフォードには涼しい笑顔が似合う。同じアウトローを演じても、スティーブ・マックイーンのような荒々しさや、ポール・ニューマンのような哀愁を漂わせるわけではなく、その存在は常に爽やか。まさに“オール・アメリカンボーイ”の代名詞のような存在だった。
そのレッドフォードも今年で83歳。ここ最近は年に1、2本のペースで映画に出演してきたが、自ら企画した『さらば愛しきアウトロー』を最後に、俳優稼業から引退することを宣言した。
本作でレッドフォードが演じるのは74歳の銀行強盗、フォレスト・タッカー。何度も逮捕されては、16回も脱獄を繰り返した実在の人物である。この人が異色なのは、ポケットに隠し持った拳銃で銀行員を脅しながらも、誰一人として傷つけなかったこと。そして被害にあったほとんどの人が、タッカーのことを「紳士だった」、「礼儀正しかった」と話していたことである。
かつて『ホット・ロック』(71)ではダイヤモンド泥棒を、『スティング』(73)では街の詐欺師をスマートに演じていたレッドフォードだが、鮮やかなブルーのスーツをさらりと着こなし、紳士然とした優雅な物腰で銀行強盗に及ぶ主人公は、まさにはまり役である。タッカーにとっての銀行強盗は金のためではなく、人生という名の冒険を楽しむための手段に過ぎない。そんな主人公を伸び伸びと演じているレッドフォードが心底、楽しそうなのもいい。
また劇中ではタッカーの若 かりし日の脱獄シーンが登場するが、ここで使われたのが20代のレッドフォードが脱獄囚に扮した『逃亡地帯』(66)の一場面。『追憶』(73)や『出逢い』(79)といったロマンチックな役柄もこなした二枚目らしく、13歳年下の名女優、シシー・スペイセクとの絡みも自然で微笑ましい。
半世紀以上にわたりファンを魅了し続けてきた、俳優レッドフォード。その花道を飾るに相応しい作品だ。
名演出家としても知られるレッドフォードは、『普通の人々』(80)でアカデミー賞監督賞 を獲得。映画づくりは今後も続けていくと思われる。本作の監督は『A GHOST STORY/ ア・ゴースト・ストーリー』が批評家から絶賛されたデヴィッド・ロウリー。共演者もオス カー俳優のシシー・スペイセクやケイシー・アフレックと豪華だ。93分。配給ロングライド。7月12日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2025.01.16
CARS
一歩足を踏み入れるとそこはパリ? 新しくなったルノー練馬・アルピー…
2025.01.04
CARS
希少な生息数の英国製旧車オープンカーを普段乗り! オーナーはトライ…
PR | 2024.12.27
WATCHES
落札総額12億3600万円! 世界中の時計ファンが注目したフィリッ…
2024.12.30
CARS
【海外試乗】蘇ったルノー5ターボ! EVだけど、これは乗ってみたい…
PR | 2024.12.24
CARS
「ベビーカーの頃からガタガタ道が好きでした」父から受け継いだ初代に…
2024.12.18
LIFESTYLE
Maserati GranCabrio × PRADA スタイリス…
advertisement
PR | 2025.01.17
ムーンスウォッチ最新作は「宇宙から見える地球の砂漠」と「水星」がテーマ サンドベージュとグレーでドレスアップの妙を愉しむ
2025.01.16
シビック・タイプRが待望の受注再開 100万円アップの新グレード、レーシングブラックパッケージも登場
2025.01.14
日産サクラの2倍以上の電池容量で、価格はほぼイーブン アンダー300万円のカッコカワイイ小型SUV、ヒョンデ・インスターがオートサロンで発表!
2025.01.15
ニュルの知見を活かしたスバルWRX S4初のSTIコンプリート・カー、S210を500台限定で今春に発売
2025.01.17
ランボルギーニ・ミウラの街道レーサー!? 世界のリバティウォークが今年はあの名車をカスタマイズ