2019.07.29

CARS

新開発エンジンを搭載したフィアット500Xに試乗した 新しいだけのことはある!

フィアットの小型4気筒エンジンの抜本的な新開発は、実に33年ぶりのことである。その実力やいかに。
日本に導入された新型500Xは新開発エンジンとデュアル・クラッチ式自動MTとの組み合わせが選べる4気筒版で、3気筒モデルは輸入されない。新型はクロスオーバー・カーとしてこれまで以上に焦点が合わせこまれており、2WDモデルが主力になった。4WDモデルの輸入は予定なし。


早いもので、フィアットの小型クロスオーバーである500Xが、ジープ・レネゲードの姉妹車として登場してから4年半が過ぎた。500Xは2016年以降はイタリア市場でカテゴリーのトップを走り続けているベストセラー・カーで、先ごろ、主力ガソリン・エンジンを刷新して再スタートを切った。このほど、この新型500Xが実質半年ほどの遅れで上陸を果たし、販売が開始された。日本仕様の500Xは、白紙から興された新開発ガソリン・エンジンの1.3ℓ4気筒版を載せた上級仕様で、2種類用意されるトリムの上位版となる500Xクロスを借り出した。革シート装備も標準装備しての車両価格は334万円(税込)である。



アンダーガード風の造形を取り入れた前後バンパー処理を施されたバージョンが、今回から日本仕様でも採用されたおかげで、品のいいクロスオーバー然としていたスタイリングがちょっと精悍になって、SUV風になった。このクルマは横置きエンジンによる前輪駆動で、大径タイヤとタップリと取られたロード・クリアランスを備えることを除けば、ごく普通のゴルフ級5ドア・ハッチバックだが、レネゲードと並行して開発されたおかげで、十二分なストロークを持った独立懸架リア・アクスルを備えるなど、ラフ・ロードへの対応能力は相応に高い。見てくれだけのアーバン・クロスオーバーではない。


新型500Xで最大の注目点はなんといっても、新開発エンジンだが、これが期待を超えてかなりイイ。アルミ・シリンダーブロック、燃焼室内燃料直噴システムを加えた第3世代マルチエア・シリンダーヘッド、ターボ過給専用設計等々は伊達ではなかった。デュアル・クラッチ式6段自動MTがブレーキ・ペダルへの踏力リリースと同時にクリープを作り始める設定ということもあって、アイドリング時には事実上の無振動。アイドリング・ストップ機構をキャンセルして走らせると、そのありがたみが分かる。


実用になるトルクは低い回転域から得られるから、車重が1.4tを超えるボディも易々と走る。最大27.5kgmに達するトルクは自然吸気の2.5ℓ級に匹敵し、151psの最高出力でも2.0ℓ級の値を誇るが、それが数字だけのものではないことが実感できる。回転域を問わずスムーズなことも印象的で、総じてこれは超一級の小型4気筒エンジンだと思う。得意とするのは意外にも高速道路や山道など、エンジンに大きな負荷がかかるステージだ。知らずに乗っていれば、これが1.3ℓターボだとは誰も思わないだろう。


見た目がちょっとワイルドになった500Xは、新エンジンでいっそう魅力的なクルマになったと思う。




4280㎜の全長、2570㎜の軸距からも想像できるように、室内スペースはVWゴルフ級のそれ。狭苦しさは微塵もない。小高いところに座しての視界はSUVのそれだ。車載ナビの設定はなく、スマホと連携で使うことになる。



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文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎

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