早いもので、フィアットの小型クロスオーバーである500Xが、ジープ・レネゲードの姉妹車として登場してから4年半が過ぎた。500Xは2016年以降はイタリア市場でカテゴリーのトップを走り続けているベストセラー・カーで、先ごろ、主力ガソリン・エンジンを刷新して再スタートを切った。このほど、この新型500Xが実質半年ほどの遅れで上陸を果たし、販売が開始された。日本仕様の500Xは、白紙から興された新開発ガソリン・エンジンの1.3ℓ4気筒版を載せた上級仕様で、2種類用意されるトリムの上位版となる500Xクロスを借り出した。革シート装備も標準装備しての車両価格は334万円(税込)である。
アンダーガード風の造形を取り入れた前後バンパー処理を施されたバージョンが、今回から日本仕様でも採用されたおかげで、品のいいクロスオーバー然としていたスタイリングがちょっと精悍になって、SUV風になった。このクルマは横置きエンジンによる前輪駆動で、大径タイヤとタップリと取られたロード・クリアランスを備えることを除けば、ごく普通のゴルフ級5ドア・ハッチバックだが、レネゲードと並行して開発されたおかげで、十二分なストロークを持った独立懸架リア・アクスルを備えるなど、ラフ・ロードへの対応能力は相応に高い。見てくれだけのアーバン・クロスオーバーではない。
新型500Xで最大の注目点はなんといっても、新開発エンジンだが、これが期待を超えてかなりイイ。アルミ・シリンダーブロック、燃焼室内燃料直噴システムを加えた第3世代マルチエア・シリンダーヘッド、ターボ過給専用設計等々は伊達ではなかった。デュアル・クラッチ式6段自動MTがブレーキ・ペダルへの踏力リリースと同時にクリープを作り始める設定ということもあって、アイドリング時には事実上の無振動。アイドリング・ストップ機構をキャンセルして走らせると、そのありがたみが分かる。
実用になるトルクは低い回転域から得られるから、車重が1.4tを超えるボディも易々と走る。最大27.5kgmに達するトルクは自然吸気の2.5ℓ級に匹敵し、151psの最高出力でも2.0ℓ級の値を誇るが、それが数字だけのものではないことが実感できる。回転域を問わずスムーズなことも印象的で、総じてこれは超一級の小型4気筒エンジンだと思う。得意とするのは意外にも高速道路や山道など、エンジンに大きな負荷がかかるステージだ。知らずに乗っていれば、これが1.3ℓターボだとは誰も思わないだろう。
見た目がちょっとワイルドになった500Xは、新エンジンでいっそう魅力的なクルマになったと思う。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎
advertisement
PR | 2024.12.26
CARS
1/19(日)開催 ゲストに島下泰久さん ENGINEスペシャル・…
PR | 2025.01.16
CARS
一歩足を踏み入れるとそこはパリ? 新しくなったルノー練馬・アルピー…
2025.01.04
CARS
希少な生息数の英国製旧車オープンカーを普段乗り! オーナーはトライ…
PR | 2024.12.27
WATCHES
落札総額12億3600万円! 世界中の時計ファンが注目したフィリッ…
2024.12.30
CARS
【海外試乗】蘇ったルノー5ターボ! EVだけど、これは乗ってみたい…
PR | 2024.12.24
CARS
「ベビーカーの頃からガタガタ道が好きでした」父から受け継いだ初代に…
advertisement
2025.01.08
新車で買える一番安いBMWがこれ! 新型BMW1シリーズのエントリー・モデル、120にモータージャーナリストの森口将之が試乗 シャシーが素晴らしい!
2025.01.13
マニュアル+ターボのミラ・イースと一緒に2台持ちしたい! ハイゼット・ジャンボ・エクステンド2は理想のモータースポーツ・サポート軽トラだ!
2025.01.16
シビック・タイプRが待望の受注再開 100万円アップの新グレード、レーシングブラックパッケージも登場
2025.01.11
目指すはBMWアルピナか 日産ノート・オーラ・オーテックに走りに磨きを掛けた新グレードを追加
2025.01.15
ニュルの知見を活かしたスバルWRX S4初のSTIコンプリート・カー、S210を500台限定で今春に発売