2024.07.03

CARS

「プレジデントは愛人です」という俳優の寺島 進さん、43歳で買って17年を共にした愛車が工場入り 動かなくなっても持ち続けるという言葉がジンとくる

撮影には寺島さんが10代の頃から憧れていたというハコスカを用意した。

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クルマ好きのゲストを迎え、「これまでに出会ったクルマの中で、人生を変えるような衝撃をもたらしてくれた1台」を聞くシリーズ、「わが人生のクルマのクルマ」。今回登場していただくのは、北野武監督の作品をはじめ、数々の映画、テレビドラマ、CMなどで活躍する俳優、寺島 進さん。ハコ型のクルマが好きだという寺島さんの愛車は43歳で買った日産プレジデント。17年間を共にした愛車とは離れがたいと言う。

10代のときに憧れていたクルマ

「タバコ、いい?」

1972年式日産スカイライン2000GTXの前に立った寺島進さんは言った。ボンネットの上にタバコとライターを置き、1本を口に咥える。いやあ、めちゃくちゃカッコイイ。ヴィンテージ感のある出で立ちとハコスカ、まるで撮影現場は昭和にタイムスリップしたみたいだ。

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寺島さんが醸し出すダンディズムはとてもエッジが立っているけれど、どこか寛容で温かい。粋な江戸前の風情を感じる。

私の頭の中に“この主人公は群れることを嫌い、権力に対しても一歩も引かない一匹狼だが、子供と野良猫にはめちゃくちゃ優しい”というキャラクターが浮かんだ。ワンポーズでストーリーを想起させる寺島さんに再び感心した。

寺島さんは東京・深川で生まれた。

「実家は畳屋でね、クルマと言えばリアカーかトラックだった。どこへ移動するのもトラックだった。夏にオヤジがオレを乗せて晴海のプールに連れて行ってくれた。道中、トラックから見るハコ型のセダンに憧れた。こっちは後席がないからね。後席のある乗用車はいいなあって」

撮影のために準備したハコスカは寺島さんが10代のときに憧れていたクルマである。

「思春期の頃、初めて見たんだけどすごくカッコイイと思った。一目惚れに近いね。こういう四角いデザインのクルマが好きなんだよね。いま見てもすごくいい。こんなに低かったんだっけ。座ってもいい?」

寺島さんは子供のように目を輝かせた。

「マニュアルと半クラッチ、懐かしい! 教習所でサイドブレーキを引き、坂道発進をやったのを思い出した。オレは得意だったよ(笑)。こういう人が動かしている感じはいいよね、味があって」

寺島さんは満面の笑みで、撮影のためにハコスカを動かした。

寺島さんがクルマの免許を取ったのは18歳のときである。

「オヤジの仕事を子供の頃から手伝っていたから、教習所代はオヤジが出してくれた。オレが運転できればオヤジも助かるしね」

寺島さんが持つ江戸前ダンディズムのルーツはお父さんなのかもしれない。やかんの水を口に含み、ぷーっと霧のように吐く職人姿を横で見ている寺島少年の姿が頭に浮かんだ。

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