ウエダ 今月のエンジンは久し振りの日本車特集です。スープラとかRCFとか話題のクルマも多いですし。
アライ ナベさんは2020年型の日産GT-Rニスモにドイツのサーキットで乗ってきたんですよね。
ワタナベ そう。アウトバーンとかも走ったけど、もう現状のアーキテクチャーでやり尽くした完遂感がひしひしと伝わってきたよ。
アライ R35 GT-Rのデビューは07年の東京モーターショウですね。
ウエダ 12年前……といえば、初代iPhoneが登場した頃ですよ。
ワタナベ そもそもケータイがスマホに変わって従来型はガラケーっていう区分けがなされて、友達と連絡取るのに通話するんじゃなくLINEで文字送り合うとか、QRコード出せばコンビニ決済できるとか、もうまったく想像つかなかったよね。
アライ いやまったく。僕なんかまだガラケーですから。
ワタナベ ……え? マジで?
アライ いやもうガラケー最高。行く先々でウエダがコンセント探して右往左往してるの、見るのが楽しくて。
ワタナベ 確かにスマホ時代になって電源依存度はぐっと上がったよね。多分国全体の消費電力量にも影響してる位じゃないかと思うんだけど。
アライ となると、GT-Rなんてそういうスマートな時代感覚とは異なるタイミングで登場した最後の恐竜だったのかもしれませんね。
ワタナベ でもそういうクルマが光り輝いてみえるわけじゃない、我々オッさんたちは燃やすことの歓びを知りすぎちゃってるから。
ウエダ まさに今回はそういうクルマを追ってみようと、埼玉の越谷市にやってきました。ここケーズアップはホンダのスポーツ・モデルに特化した品揃えを売りにするお店です。
敷地にはホンダ車がズラリ。
ワタナベ 代表の芳賀邦行さんは元々ホンダのディーラーに務められていたそうで、部品の融通とかメンテの要領なんかにも長けてそうだね。で、今回のお題はこれなんだよ。
アライ おおー、セダンのシビック・タイプR。これは後期モデルに設定された紫色だ。珍しいなぁ。
ワタナベ 実はこの物件を見に来た理由の1つは走行距離なんだよ。なんと1270㎞なの。
アライ げげ、マジですか。
ウエダ 納屋物件というほどではないにせよ、外装的には車庫に普通に保管されていたような感じです。
ワタナベ さすがに10年経ってるからボディはくすんでるけど、磨きを入れたらパリッとしそうだね。
アライ でも内装を見ると、走行距離も納得させられます。
ワタナベ 今、撮影用にちょっと動かしてみたけど、クラッチやシフトの感触もまったく癖がついてなくて新車同然って感じだね。
↑ナビを除き、室内は完全に新車当時の姿を保っていた。タイプRの証である地が赤のエンブレムをはじめ、赤い照明の専用メーター、赤いスティッチの専用3スポーク・ステアリング、10㎜高さを下げたショート・ストロークのアルミ製シフト・ノブ、メタル製ペダルなどがベース車からの変更点。
↑シフト上にはシリアル・ナンバーが。
↑前席は先代までのレカロからホンダ独自のタイプR専用シート・フレームを持つ"Rスペック"に。後席はISO FIX式のチャイルド・シートに対応。乗車定員は4名。
↑車体剛性の向上と軽量化のためモノコック・ボディにも徹底した強化と断捨離が行われているが、実用性はベースのシビック同様で荷室は広い。
↑タイヤは新車時のBSポテンザRE070。ブレンボ製4ポッド・キャリパーも装着。
↑225psを8400回転でたたき出すK20Aユニットが収まるエンジン・ルームもチリ1つない。
アライ ナベさん的に今なんでこのシビック・タイプR推しなんです?
ワタナベ いやぁ、もしこれを買ったら、うちはFDの2台体制になるのかと思ってね……。
アライ FDが2台?
ウエダ ……ほら、RX-7はFD3Sで、このシビック・タイプRはFD2じゃないですか、型式名称。
アライ そ、そんな理由?
ワタナベ それは冗談なんだけど、ファミリー・カーとしても成立する実用性を備えつつ、サーキット走行を前提にしたポテンシャルを持っているクルマって、昔は日本にいっぱいあったよなぁと。そこをちょっと懐かしんでみようと思ったわけ。
アライ まあ代表的なのはインプとランエボで、インプはWRXとしてまだギリギリ販売されていますよね。
ワタナベ WRX STIのEJ 20も素晴らしいエンジンなんだけど、やっぱホンダのNAって別格だったじゃない。これは本気でぶん回るK20Aを積んだ最後のクルマだからね。
ウエダ コンセプトはずばりサーキットにおける歴代FFタイプR史上最速。具体的には筑波のラップ・タイムを時のインテグラ・タイプRより1秒速い1分7秒台に……でした。
ワタナベ 当時はシビックの成り立ちが米国市場主導で大型化している時だったからね。バーンと馬力の上げられないNAエンジンで性能的優位を出すには、コーナリング・スピードを高めるしかなかった。
アライ そこでガッチガチのサスに鬼グリップ・タイヤが組み合わせられたわけですね。確かに使い勝手はファミリー・カー並みですけど、とても乗れたもんじゃあなかった。
ワタナベ でも、現行シビック・タイプRがニュル7分台で走る過給ものになってしまった今や、タイムに縛られず気持ちよくスポーツ走行を楽しむ自己満足のギアとしてこのクルマを見直してもいいかなぁと思ったりもするんだよね。あの跳ねまくりのアシも今や懐かしめるじゃない。
ウエダ まぁ新車時のタイヤはさすがにヤバいですが、交換前にちょっと乗り味を確認しておくと、当時のドSぶりがよくわかるでしょうね。
アライ 聞けば部品もまだ困ることはないというし、NAということもあって耐久性も問題ないみたいで。
ワタナベ まぁこの形も大人のシャレということで、日曜の朝にプォーンとエンジンかち回して山道走るためだけのクルマとして見ても、なかなか稀有な存在なんじゃないかな。
ケーズアップ代表の芳賀邦行さん。シビック=ホット"ハッチ"の印象が強く、3代目セダンはやや人気薄で中古車としては狙い目。
(ENGINE2019年9月号)
※紹介した中古車の価格、在庫については、取材時のものです。
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