2019.10.30

CARS

【エンジン中古車探検隊】旧き良きメルセデス・ベンツといえば、やっぱりこの世代!

arj (エーアールジェイ)のショールームに並ぶ美しいクーペとワゴン。■写真左 : メルセデス・ベンツE320クーペ 1995年型 ブルー・ブラック/ブラック・レザー ■写真右 : メルセデス・ベンツ300TE 1992年型 ミッドナイト・ブルー/ブルー・ファブリック

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先日めでたく30万kmを達成したENGINEの長期リポート車、1992年型メルセデス・ベンツ300TEを約11年前に購入したお店に、ものすごい出物があると聞きつけた探検隊一行。多摩川のほど近くに移転したそのお店に並んでいたのは、まるでリポート車と生き別れの双子の兄弟のような見た目も中身もそっくりのワゴンと、ほとんど新車のようなクーペだった。


ウエダ 今月の弊誌巻頭特集は最新ドイツ車事情をお届けするわけですが、我々は中古車ネタでやっている手前、最新も何もありませんねぇ。


ワタナベ 最新のドイツ車といえば 電動化車両ばっかりになっちゃうんじゃないの?こないだのフランクフルト・ショーもEVだらけだったよ。


アライ それにしてもフランクフルトの斜陽感は凄かったですね。ホール3つくらい閉めちゃってたし。


ワタナベ 東京もデトロイトもそうだけど、もはやクルマと姉ちゃん並べるだけのモーターショーって、先進国では成り立たなくなってきてる。


アライ そういえばコンパニオン的な方って、全然見なかったですね。


ワタナベ 今年の東京モーターショーは、とにかくモビリティにまつわるコンテンツをひっかき集めてるみたいだから、今までとは違う雰囲気が出るんじゃないかな。


ウエダ グランツーリスモを使ったeスポーツとか、ドローン・レースとかも開催されると聞きました。


アライ 斜陽先進国なりに一周回った解答が現れるといいですね。


ウエダ まぁ、そんなこんなで最新のドイツ車を紹介するわけにはいかない我々としては、何かいいネタはないかと思いまして、新同のドイツ車を探してきました。


ワタナベ なにそれ、トンチ効かせてるつもりなの?


アライ お、これ? C124じゃないの。


ワタナベ 隣に見たことがあるようなS124もいるんだけど。


ウエダ 目ざといですねぇ。ここa rjさんは遡ること約11年前、編集部の長期リポート車を購入したお店なんです。オースチン・ローバー云々ってボケはいりませんからね。


ワタナベ うぐぐ......。


MERCEDES-BENZ E320 COUPE
クーペはシートベルト・アシストを装備。
取材車は純正オプションの電動リア・ブラインドも装着。ガラスを下げると美しい車体のラインが際立つ。後席は175cmのウエダ隊員でも余裕の広さ。
過去の整備はすべてヤナセで実施。今年2月にはリアの左右ボールジョイントとVベルト、ウォーター・ポンプ、冷却水ホースを交換。劣化しやすいエンジンのハーネスも交換済み。
荷室は深く広く開口部も大きい。
クーペとカブリオレはオーバードライブ付き5段ATを採用。
新車時の価格は935万円だった。

アライ 導入時のテーマは「124 は永久自動車か?」ということで維持検証し続けてきたんですが、先日遂に走行30万kmを突破しまして、ツェッチェの直筆サイン入りの認定書がAGから届いたんですよ。


ワタナベ へぇー。で、サイン付きで買い取ってもらったんだ。


アライ 購入者にはワイルドな方のアライの生歌付きで納車するとか。


ウエダ 違いますよ。たまたま全く同じ色で同じ仕様の個体がお店に入荷したんですってば。


ワタナベ なーんだ、そうなのね。でもこの仕様って、ザ・S124って感じだよね。ミッドナイト・ブルーのサッコ布シート8穴。当時は日本市場のワゴンもスバルとボルボとビュイックくらいだったし、このクルマはなんか別格感あったよね。


ウエダ 中古車市場ではエアバッグ付のステアリングはいまいち人気ないんですってね。なんでもイナーシャや握り感的には前の方がいいとい人もいるとか。


アライ この湯戻しした麩みたいにぶにゅぶにゅした握りがいいんだ。わかんないもんだねぇ。


ワタナベ もはや124はほぼほぼ求道的な対象になってるから、原点こそ頂点という人もいるだろうね。MB-TEX最強みたいな感じの。


アライ でも、街中で走ってる個体をみると、もう他に行くとこないんだろうなぁというおじさんおばさんも見掛けますよ。


ワタナベ そうそう、そういう人が多い。やっぱ124が体に染み込んじゃうと、サイズ感や取り回しやすさに始まって、開閉部の精度感とか、触れ伝わるものの具詰まり感とか、スピード上げるとクルマがきゅーっと小さくなっていくかのようなフォーカス感とか、もう他じゃどうにも叶えようがないものが多いから、離られないんだろうと思うよ。


MERCEDES-BENZ E320 300TE
前オーナーのもとで四半世紀の間、丁寧に保管愛用されていたというW124。前期型の最終仕様のみ採用した8つの穴の開いたホイールや、ウッドパネルには傷1つない。荷室床下には格納式の サード・シートを備えている。arj入庫後に、コンチネンタルの新品タイヤを装着済み。

ウエダ で、ちなみに今日のお題はS124ではなくてC124の方です。


ワタナベ 124後期といえばブルブラ。呆れるほど売れたよね。


ウエダ ブルー・ブラックですか。


アライ でもこの色、それこそ一周回った感がありますね。今見ると新鮮だしデザインにもよく似合ってる。


ワタナベ でもこのクルマ、妙に綺麗だよね。モール類とかバンパー回りの樹脂ものがパリッとしてる。


ウエダ それもそのはず、メーターをご覧ください。


アライ オレンジのニードルも全然色飛びしてないし。


ワタナベ ん、お、え、ええーっ!アライくん距離計距離計。


アライ え、なになに......げげーっ、9950km。まさかの4桁物件ですか。


ウエダ だから言ったでしょ、新同のドイツ車って。しかも泣く子も黙る124系で希少なクーペですよ。


ワタナベ ......今年、これを超えるウエダくんのドヤ顔は多分ないね。


アライ しかしどうしたのこれ。バーン・ファウンドじゃないけど、どっかで寝てたヤツかな。


ウエダ お店の人に聞いてみたんですが、ワンオーナーではないものの、とあるコレクターさんのお宅に長く収まっていたそうです。


ワタナベ でも、不動状態ではなかったみたい......というのは、車検もあるしドラレコもついてるんだよね。動かすまでが大変っていう物件ではないから、ここから細かなリフレッシュを加えることになるんだろうけど、エンジン、トランスミッションは温存されてるし、お約束のハーネスも取り替えてあるし、気になったら足まわりやゴムものをどうするかみたいな話になるんだろうね。


アライ 編集部のクルマも30万kmメンテし続けてきたんで、ちょっと分かるところがあるんですが、やっぱり永久自動車といえど所有する人の愛情に100%依存するんですよ。


ウエダ たとえ戻るとはいえ、たとえば20万kmのクルマに50万円を投じてリフレッシュするのって、冷静に考えると相当覚悟がいりますよ。普通は自己嫌悪の堂々巡りです。


ワタナベ だよねえ。それはすごくよく分かる。でも元ネタが4桁物件だと掛け甲斐もあるよね。戻す意欲もメラメラ湧いてくるというか。


アライ あと30年生きるとしても全然保つし、もう一生もんですよね。


ワタナベ 皆もすなる124といふものを、我もしてみむとてするなり ......という人には最適な個体。だけど生半可な気持ちでは手を出せないバリモンオーラもあるから、添い遂げる覚悟のある人にいって欲しいね。


アライ でも、最初はそう思ってても、ひょんなことからあっさり別れちゃったりするんですよね......。


ワタナベ え、それ、どこの江戸っ子の話なの?


arj代表の馬渕仁之さんから124シリーズの相場を取材中の渡辺隊長。取り扱い車種はやはりメルセデス・ベンツやポルシェといったドイツ車が多い。
1999年型のSL320は希少な後期の最終モデル(308万円・8%税込)。 また取材当日は1971年型 の日産スカイラインDX(価格応談)のような変わり種の姿も。

■arj 東京都世 田谷区玉堤1-20-7 arj世田谷1F 
TEL : 03-3704-7177  
HP : http://www.arjapan.co.jp


話す人=渡辺敏史+新井一樹(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也


(ENGINE2019年11月号掲載)

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