スイス・アルプスを連想させるステルヴィオ峠と相対し、アルプス東部の山々は彫刻のような独特な姿を持つ。イタリア北東部3州にまたがるこの地域がドロミティ山塊と呼ばれる。このドロミティ山塊の真ん中を西から東へ横切るドライブコース、ボルツァーノからコルティナ・ダンペッツォを目指す。その道はステルヴィオ峠と比べて、広く緩やかで、自分のペースでドライブを楽しむことができる。
[ドライブコース]◇Bolzano(ボルツァーノ)→SS241→SS48→SR48→Cortina d'Ampezzo(コルティナ・ダンペッツォ)/111km・約3時間
最初はLago di Carezza(カレッツァ湖)へ。自然のなかに湖がポツンとあるのかと思っていたが、意外にも、大きな駐車場はきれいに整備されており、真新しいレストランや土産屋もある。湖の外周にはウッドデッキの展望台や遊歩道があって、一周20〜30分で歩けるようになっている。透明度の高い翡翠色の水面にドロミティ山塊が映った写真を撮るのがお決まりらしいが、この日のカレッツァ湖は、水量が少なく調子が悪い!?様子だった。
その後、Passo Pordoi(ポルドイ峠)そしてPasso Falzarego(ファルツァレーゴ峠)を走る。途中には、所々にロープウェイがあって、軽装でもさらに山の上へ行くことができる。今回は時間がなく、残念ながらロープウェイには乗れなかったが、半日あればロープウェイ&トレッキングを十分楽しめるはず。
コルティナ・ダンペッツォは、イタリア1の高級スキーリゾート。360度アルプスに囲まれた絶景の街で、上質なホテルやリストランテも多く、宿泊することをおすすめする。2026年にはミラノとの共催で冬季オリンピックの開催地となることが決まり、今後は世界中から注目されるリゾート地になると思われる。
この日泊まったのは、コルティナ・ダンペッツォの中心部から少し外れた「Agriturismo ghedina」(アグリツーリズモ・ゲディーナ)。牧草地のなかにある山小屋風の宿泊施設で農場体験も可能。室内や家具には無垢の木材が使われ、木の香りが心地いい。部屋からはドロミティの山々を眺めることができる。
併設するレストランは肉料理が主となるが、オーダーした牛のスネ肉の煮込みは、手の込んだ繊細な味わい。合わせたワインは、イタリア北東部・TEROLDEGO ROTALIANO(テルロゴ・ロタリアーノ)の赤。土着品種の黒ブドウ“テルロゴ”を使用している。深い色のわりには、重すぎずフルーティーさも感じられて、料理にぴったりマッチした。
文=山元琢治(ENGINE本誌) 写真=増田岳二
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