「これがカローラか......」。新型カローラを見た多くの人はこう感じるに違いない。とくにカローラを知る人にはなおさらだ。
先代カローラが日本市場の特殊性を考慮し、ヴィッツのプラットフォームをベースにした日本以外のマーケット向けのカローラとは全く異なるクルマだったことも、新型と旧型の落差を大きくしていると思うが、いずれにしろ、カローラ=オジサンのクルマという印象が根付いている層にとって、この精悍でスポーティで若々しいスタイリングを持つ新しいカローラは見た目に限って言えば、驚くほど大きく変わった。
その目的はユーザーの若返りだ。開発陣はあえてその言葉を口にしなかったが、カローラ・セダンの平均ユーザー年齢は70歳になるという。その現状を打破しない限り、日本におけるカローラの未来はないという危機感の表れにほかならない。
先代のように骨格から全く別のクルマというわけではないが、新型も日本市場の趣向に合わせた専用モデルになっている。大きな違いはボディ・サイズ。日本市場以外のモデルと比べると、全長で14〜16cm短く、全幅で4~5cm狭い。それに合わせてホイールベースも6cm短縮されている。
このサイズを実現するために、見た目はそっくりだが、外装パーツの多くを日本専用に作り直しているのだ。それでもついに5ナンバーの枠を超え、3ナンバー登録になった。今や3と5の違いはほぼ形骸化しているのだが、ユーザーの中には気にする人が少なくないらしい。
そのため、ドア・ミラー間の距離を縮めたり、最小回転半径を小さくすることで、できるだけ使い勝手の良さを5ナンバー・サイズだったときのカローラに近付けることで、3ナンバー化を危惧するユーザーが抱く不安の払拭に努めている。
ただし、最新のGA-Cプラ ットフォームをはじめ、中身は海外向けモデルと共通。全幅が狭い分をタイヤ・サイズとホイールの形状で補正することで、サスペンション・アームやハブを変えることなくナロー仕様に変更しているという。
見た目は驚くほどの変貌を遂げていたが、乗り味は快適性を重視した当たりの柔らかい今までのカローラらしさが残っていて、ちょっとホッとする。
ハッチバックのカローラ・スポーツがドイツ車のように脚は硬めだが、なるべくクルマをフラットに保とうとするのとは対照的で、新型カローラはクルマをうまく上下に動かしながら路面からの入力をいなしていく。その印象はボディ・タイプやグレードが違っても変わらない。
もちろん新しいプラットフォームやリア・サスペンションがトーションビーム式からマルチリンク式に格上げされたこともあって、乗り心地、操縦安定性ともに従来モデルと比べ るとレベルアップしている。とくにドライバーの入力に対するクルマの動きが素直でとても運転しやすい。
これまでのカローラといえば1.5ℓエンジンが主軸だったが、新型はMT専用の1.2ℓターボを除くとガソリン、ハイブリッドともにすべて1.8ℓとなった。
どちらもシャシー同様、尖ったところはないけれど求められた分の仕事はきっちりとこなす。ハイブリッドはモーターの特性を活かし、走り始めからしっかりとしたトルクが感じられ、とても扱いやすい。ガソリンも排気量が拡大されたおかげで、先代の1.5ℓよりもトルクの厚みが増しているのが好印象だ。
140psのガソリンとシステム総合出力が122psのハイブリッドでは絶対的な動力性能に大きな差はないので、いつでもスッとトルクが立ち上がるハイブリッドがいいか、ガソリン特有のエンジン・フィールを楽しむか。燃費や車両価格を含め、それぞれの趣向で選べばいいだろう。
見た目はガラッと変わった新型カローラだが、中身にはいい意味でカローラらしさが残っていた。もはや大衆車の領域から脱したと言っていいほど、全方位的に性能が向上しているし、意外と隠れた逸材かも。
カローラS
カローラ・ツーリングW×B
文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
→欧州名のヤリスに改名し、エンジンとシャシーも一新した4代目ヴィッツが世界初公開
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