■髙木教雄PICK UP!■
ダイアル内周で曜日を、外周で1年53週をカウントする。LIGA製3番車は、歯先の弾性によりそれと噛み合う4番車の動きを安定させるため、これまで用いてきた抑えバネを不要とした。自動巻き。ステンレススティール、ケース径40 mm、3気圧防水。税別365万円。
昨年、今回と同じ企画で「2019年は、超精密成型技術LIGAがキーワードになる」と予想した。そして 実際、ウブロ、ジャガー・ルクルト、シチズンなどがLIGA製の特殊形状歯車を導入。パテック フィリップも、この「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー Ref.5212A」 のベースムーブメントの3番車をLIGA製とし、歯先に弾性を持たせた。
「ほら、予想が的中したでしょ」と、自慢したいわけではもちろんない。このモデルには、今年の時計界の新たな潮流を予見させる、もう一つの注目点があるのだ。それは、ストラップ。ご覧の通り、その素材はアリゲーターを多用してきたパテック フィリップでは珍しい、カーフである。
2018年12月、シャネルは2020年からアリゲーターをはじめとするエキゾチックレザーの使用を廃止すると発表した。また公式な発表ではないが、LVMHグループも数年かけてエキゾチックレザーを徐々に製品からなくしていくという。パテック フィリップが、この動きに先んじたかは定かではないが、2020年、アリゲーターストラップは間違いなく激減する。それに代わりどんな素材が主流となるのか、要注目である。
髙木教雄(たかぎ・のりお)
エキゾチックレザーの廃止は、動物愛護の見地から世界的な潮流。ラバーやファブリック、カーフのスタンパードなどなど、高級時計のストラップ素材も多様化の時代になりそう。
(ENGINE2020年3月号)
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