1月にスイスで開催されるSIHHに合わせ、LVMHグループの時計ブランドが独自にジュネーブで行っていた新作発表の場をアラブ首長国連邦のドバイへと移した今年。第1回となる「LVMH ウォッチウィークドバイ2020」では、ゼニス、ブルガリ、ウブロ、タグ・ホイヤーが参加。ゼニスは、「エル・プリメロ」 の歴史遺産に敬意を払う復刻モデルを筆頭に、先進技術を語る「デファイ エル・プリメロ21」のランドローバーとのコラボモデル、さらに伝統の「パイロット」や、ケースとダイアルをリニューアルして新鮮なイメージを打ち出す「エリート」など話題作が目白押しだ。
1969年に世界初の自動巻きクロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」を開発したゼニス。この新作は、同年の搭載モデルのなかでケースやブレスレットのデザインがとりわけユニークな「A384」を復刻。細部に至る忠実な再現も最新技術の賜物だ。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径37mm、5気圧防水。税別88万円。5月発売予定。
ランドローバーと再びコラボした限定モデルは、100分の1秒を計測するクロノグラフ機能をもつ「デファイ エル・プリメロ21」。ディフェンダーの特徴をとらえた逸品だ。自動巻き。マイクロブラスト仕上げのチタン、ケース直径44mm、10気圧防水。250本限定。税別147万円。5月発売予定。
航空の草創期を彷彿させるレトロな味わいが人気の「パイロット」。今年は新しいブラッシュ仕上げのステンレススティールのケースを採用し、裏蓋にゼニ スの航空計器の彫金を施す。ヴィンテージ加工のレザーストラップも独特。自動巻き。直径45mm、10気圧防水。税別79万円。5月発売予定。
ゼニスの代表的なドレスウォッチ「エリート」がデザインを一新。ラインをくっきり刻むモダンなサンレイ模様やスレートグレーの彩りが時計のフェイスを 一段とスタイリッシュに演出している。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径40.5mm、5気圧防水。税別73万円。4月発売予定。
近年各社とも極めて再現度の高い復刻モデルに力を注いでいるが、この「エル・プリメロ A384リバイバル」は出色。昨年の「エル・プリメロ」50周年で復刻も打ち止めかと思いきや、こんな隠し玉までちゃんと用意していたとは驚き。レトロなケースはもとより、ラダーブレスレットがこれまたマニア心をくすぐる。
ゼニスの代表モデルの地位を確立しつつあるパイロットモデル。小型化するケースのトレンドに左右されない、存在感ある直径45mmのサイズは新鮮だ。また、時計同様にヴィンテージ感あふれるストラップも大きな魅力。「クラシックなオープンカーでレザーブルゾンと...」なんて妄想が止まらない。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター[時計担当])
(ENGINE2020年5月号)
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