2020年の新作時計をいち早く紹介する特集第2弾。ブランドの底力を感じさせるのは歴史的傑作を再解釈したヴィンテージスタイルや新鮮なイメージを演出するカラーリングだ。スポーツウォッチからラグジュアリーウォッチまで--。時計ジャーナリスト・菅原 茂氏と、ENGINE編集部・前田清輝が、その新たな魅力を探る。
前田 ジュネーブとバーゼルという2大見本市は残念ながら中止になったものの、注目ブランドから新作情報が続々届いていますね!
菅原 発表された新作に関しては、例年であれば見本市前に発表するプレ・モデルも少なくないけれど、これから続いて発表される本命にさらなる期待感を持たせる力作ばかりだよ。中でも今年から独自開催(新作発表の)を決めていたブライトリングは突出してたと思う。
前田 昨年話題を集めたオリジナルに忠実な復刻モデルの第2弾ともいうべき「AVI REF.765 1953 リ・エディション」とルーローブレスが蘇った「クロノマット B01- 42」は、ブランドの懐の深さを感じるモデルと言えるでしょう。
菅原 そうなんだよ! 特に「クロノマット B01-42」‼ 新作はレトロモダンを現代のテイストで体現している。モデル誕生当時に採用されていたルーローブレスやライダータブを新たなアプローチで作り出しててさ。
前田 ルーローブレスは、僕の大好物ですよ〜。このブレスレットに大学時代から憧れ続けて、3年前にミントコンディションの当時のモデルを地方出張の際に見つけて購入したくらいですから。
菅原 そんなに好きなんだ(笑)。そういえば、取材時にもオリジナルを着けてきて、熱心に比較して見てたよね。でも気持ちはわかるよ! 前回取り上げたウブロの新作もそうだけど、魅力的なブレスレットは時計にラグジュアリー感を与えるし、そのカッコ良さに惹かれて時計を買うこともあるくらいだから。ブレスレットの魅力を再発見させてくれたよ。
前田 他にもモンブランやボールウォッチの新作もですが、スポーツウォッチにおいて、レトロモダンなテイストは確実にトレンドになりつつありますね。他には昨年にリニューアルしたシャネル「J12」の新作「パラドックス」には驚かされました。異なる素材をひとつのケースに採用したセンスと技術力はスゴい…。

菅原 確かに。美しさだけではなく、どうなっているかまで知りたくなるモデルだよね。そういった意味では、ルイ・ヴィトンやピアジェも夢をカタチにする技術力に驚かされたな。
前田 それに色や素材。新作においてはこの2つの要素を変えたものが多いですけれども、見慣れたはずのモデルが全く別の時計に感じますね。
菅原 やはりそれはベースとなったモデルが秀作だということだね。基本は同じなのに新しい解釈を加えることで魅力が再発見されるという。トゥールビヨンもある意味そうかも。正確さを追求する高い技術力の証なんだけれども、複雑な機構の動く様そのものに魅了されているからね。
前田 まだまだこれからも新作は続けて発表されるでしょうが、“再発見”は様々な要素でキーワードになりそうな気がします。
菅原 そして、それらに触れる度に我々も改めて時計好きであることを“再発見”している。 前田 で、つい「これで最後!」と思いつつ、また買っちゃう。気づけば、寂しい懐を“再発見”(笑)!
菅原 それは避けたい…。でも避けられない“再発見”なんだよね〜。しかし欲しいな、「リ・エディション」。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年6月号)

左/菅原 茂(すがわら・しげる)
1954年生まれ。時計ジャーナリスト。1980年代にファッションやジュエリー雑誌でイタリアやフランスを取材。1990年代からは時計に専念し、スイス時計見本市取材は25年以上、専門誌や一般誌に多数の記事を発表。ENGINE本誌にも創刊号から20年にわたり寄稿するベテラン。
右/前田清輝(まえだ・せいき)1972年生まれ。ENGINE編集部シニア・エディター。ライフスタイル誌や時計専門誌の編集長、『メンズクラブ』『エスクァイアBBB日本版』の時計・クルマ担当を経て、今年2月より現職に。趣味は温泉巡りとルアーフィッシング。現在の愛車はメルセデスGLCクーペ。
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