今年の主役は、「パイロット・ウォッチ」や「ダ・ヴィンチ」と並んでブランドの柱のひとつを成す「ポルトギーゼ」。1930年代にルーツをもち、90年代半ばからクロノグラフを中心に世界で人気を博してきた「ポルトギーゼ」だが、今回の特色は新作の全モデルが最新の自社製ムーブメントを搭載するコレクションになったところ。さらにはオリジナルのデザインを生かしながら40mmケースを採用する着けやすいコンパクトなモデルから、カラーダイアルで新鮮なイメージを演出するクロノグラフ、永久カレンダーやトゥールビヨン搭載の高度な複雑時計にまで幅を広げたところも愛好者には見逃せない。
3つのサブダイアルで日付、曜日、月を表示する永久カレンダー機構を最新の自社製ムーブメントの82000シリーズに初めて搭載した新作。永久カレンダーの調整がリュウズひ とつで可能なのもIWCならではの特色だ。ゴールドと色調がマッチしたサントーニ製のアリゲーター・ストラップの味わいもまた格別だ。自動巻き。レッドゴールド、ケース直径42.4mm、3気圧防水。税別342万円。またSSケースのモデル(税別234万円)も展開する。
イエローゴールド&ステンレススティールのコンビでブレスレット仕様のデザインは、洗練されたスポーティ・エレガンスの味わい。時間と分の同軸積算表示やフライバック機能などクロノグラフの高度な技術も見所だ。自動巻き。ケース直径44.6mm、6気圧防水。税別212万5000円。
コンパクトな40mmケースと最新の自社製ムーブメントを組み合わせたシンプルな自動巻きモデル。6時位置にスモールセコンドを配した中2針は、1930年代のオリジナルから各種の現代モデルに継承される伝統的なスタイル。ステンレススティール、3気圧防水。税別72万5000円。
1990年代のデビューから世界で人気を博すクロノグラフは、新たに自社製ムーブメントを搭載してリニューアルしたばかりだが、グリーンやバーガンディなど鮮烈なカラーダイアルも登場。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径41mm、3気圧防水。税別79万5000円。
実は戦前の懐中時計クロノメーターも含め古くからのIWC愛好者の一人。今回の「ポルトギーゼ」コレクションは、見かけは比較的地味で通好みではあるけれど、「技術のIWC」という本来の姿が表現されていると思う。42mmケースに永久カレンダーを搭載した新作に物欲を刺激されたが、手に入れるなら控え目なステンレススティールだ。
ブランドの顔的なコレクションである「ポルトギーゼ」といえば大きなムーブメントを積んでいるイメージが強いが、ケース直径40mmの新作には驚かされた。これまで、憧れはあっても手首が細くて購入を諦めていた人にも朗報だと言えよう。また、グリーンダイヤルなど鮮やかな新色も気になる一方で、ラグジュアリーさを手に入れた「ヨットクラブ」が新鮮だ。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年7月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2025.09.06
CARS
ここはチャンピオンの秘密のガレージ レーシング・ドライバー、山野哲…
2025.09.05
CARS
戻ってきた黄色い86!300台限定のGR86イエローリミテッド発表…
2025.09.05
CARS
未来のTTはちょっとレンジローバー風味? シンプル・デザインへシフ…
PR | 2025.09.02
CARS
ベントレー・ベンテイガ EWB マリナーで九十九里から北総の小江戸…
2025.08.27
CARS
3度目の復活がある!?日産GT-R R35型 最後の1台がラインオ…
2025.08.26
CARS
1万回転に迫る! 新型ランボルギーニ・テメラリオV8ハイブリッドを…
advertisement
2025.08.27
タウンエースにもシエンタにもフリードにも負けていない!【約250万円〜購入可能】ニッサン湘南工場最後の逸品「NV200」に再注目
2025.08.31
価格は777万円から2000万円台へ 生産終了した日産GT-R、R35型16年の進化を振り返る
2025.09.01
ポルシェ911とボクスターが2台まとめて退院 気になる修理代はいくら?【エンジン編集部長期リポート 79号車 ポルシェ911カレラ4S(996型)#74】
2025.08.27
【アンダー200万円】専用デカールやLEDライトでイメージ一新 スズキ・エブリイに特別仕様車のJリミテッド
2025.09.03
トヨタ GRとは?「G's」から「GR」に変わった歴史やGRのコンセプトを解説