今年の姿勢は「攻め」と見た。創業260周年を祝った2015年以来途切れなく続く驚異的な複雑時計に加え、ラグジュアリー・スポーツウォッチに新風を吹き込む新生「オーヴァーシーズ」、そしてレトロモダンの雰囲気を新鮮な解釈で伝える「フィフティーシックス」など、どこをとっても勢いがある。そうしたブランドの最新動向をパノラミックに提示するのが多岐にわたって充実した新作だ。とりわけ注目なのは、ブルー、ブラウン、スレートグレーといったダイアルカラー。伝統に根差す高度な時計技術はお墨付きだが、現代的な美的センスの持ち主であることもカラーリングで見事に証明している。
ラグジュアリー・スポーツウォッチを格上げするのはオーセンティックな貴金属素材。厚さ8.1㎜という超薄型の永久カレンダーモデルに初めてゴールドブレスレット仕様が加わり、ピンクゴールドのケースとブルーダイアルとの調和も美しい。自動巻き。ケース直径41.5㎜、5気圧防水。ダイアル色と合わせたアリゲーター・ストラップとラバーストラップも付属し、工具なしで付け替えも楽しめる。税別予価960万円。今秋発売予定。
リバ-シブルのダブルフェイスにミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、トゥールビヨン、永久カレンダー、ムーンフェイズ、均時差表示など24の複雑機構を装備した1点製作の超大作。手巻き。ピンクゴールド、ケース直径50㎜。価格要問合せ、発売時期未定。
ピンクゴールドのケースにセピア・ブラウンのダイアルを組み合わせたブティック限定の新作は、ヴィンテージ感のみならず、まさに粋な大人の味わいで、お洒落感も格別。ダイアル色に合わせたカーフストラップも新しい。自動巻き。ケース直径40㎜、3気圧防水。税別204万円。
クラシカルな「トラディショナル」コレクションにも注目の新作が登場。12時位置のトゥールビヨンとリュウズに操作ボタンを格納したモノプッシャー・クロノグラフが独特な複雑時計だ。手巻き。ピンクゴールド、ケース直径42.5㎜、3気圧防水。時価(参考2280万円)。今秋以降発売予定。
ブランドとしてはスイスきっての老舗なのだが、美的センスの点ではパリではないかと常々思っている。ストイックで真面目なスイスよりも人生を楽しむには美と芸術が不可欠と考えるフランス流がヴァシュロン・コンスタンタンの極私的イメージ。「フィフティーシックス」のセピアブラウンに"フレンチ・シック"を見るのは勝手な思い込みか?
毎年、シンプルな3針から超絶な機能を搭載したコンプリまで、どのモデルでも拍手したくなるヴァシュロン・コンスタンタンの新作は今年も全てが素晴らしい! 価格は確かに高額だが、内容を見ればそれも納得。個人的には「いつかはケース、ブレスともに金無垢やコンプリを」と思うだけに、ゴールドに輝くオーヴァーシーズには目を奪われた。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年7月号)
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