過去13年間分の雑誌記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。
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「W124の調子はどうですか?」 最近、取材先で44号車の様子をよく聞かれる。自分もずっと乗っているという人や中古車を探している人はもちろん、44号車を初めて見た人も「いいですねえ」と興味を示すことが多い。メルセデス・ベンツのミディアム・クラス、W124型は1995年に生産を終了したが、クルマ好きの間では「最善か無か」の考え方が反映された逸品として、いまでも人気が高いのだ。
92年型ステーションワゴンの44号車はおかげさまで絶好調だ。今月はちょっとしたエピソードがある。
河口湖の近くで本誌の表紙を撮影した操上和美カメラマンとスタッフを、次の撮影現場である東京・日の出埠頭まで送り届けたときのことだ。
「これはいつのクルマですか? 相当古いね(笑)」と言いながら、助手席に乗った操上和美さん。騒音や振動、もしかしたら次の撮影開始時刻さえ、気にしたのかもしれない。ところが、走りだすとすぐに「いやあ、これはスムーズですね。素晴らしい。とても20年近く前のクルマとは思えない」と、感心しきり。しばらくすると、後席のスタッフとともに、スヤスヤとおやすみになった。
人は疲れていても"安心"しないとなかなか眠れないと思う。18年前の中古車で、しかも初対面の人間がステアリングを握るならなおさらだ。操上さんがゆっくり休めたのは、44号車がいまでも乗員を安心させるクルマだからだろう。
もちろん、静かで乗り心地がいいこともある。さらにこの日はタイヤを、ダンロップVEURO VE302(以下VEURO)に履き換えたばかりだった。
VEUROはタイヤの内側に特殊吸音スポンジを搭載した静粛性に優れたタイヤだ。とりわけ首都高速の継ぎ目を通過したときの「パカン、パカン」といったノイズが小さくなった。空洞共鳴音というノイズをスポンジが吸収するのだという。
高速道路での安定感は高い。もちろん新品タイヤということもあるのだが、以前よりセンター付近でのしっかり感が増したように思える。さらに、アウト側の接地面積を拡大することで、高速コーナリング時の安定性を高めたというVEURO。18年前のステーションワゴンが首都高速を飛ばすぐらいじゃあ、まだまだ余裕あります! という感じだ。
乗り心地もいい。ブルブルと揺れる微振動などは微塵もなく、タイヤがキレイに回っている感じで気持ちいい。非常にフラットな乗り心地だ。
雨天での走行の印象もよかった。台風17号による豪雨のなか、エンジン・ドライビング・レッスンの荷物運搬車として東京~御殿場を往復したが、一般道、高速道路ともにグリップの低下は最小限だと思った。
タイヤを換えてますます頼もしくなった44号車は、いま限りなく"最善"です!
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=柏田芳敬
■44号車/メルセデス・ベンツ300TE
MERCEDES-BENZ300TE
購入価格:168万円
導入時期:2008年9月
走行距離 3万4570km+10万6150km
2008年にENGINE編集部は「長期テスト44号車」としてメルセデス・ベンツ300TE(1992)を購入。1984年にデビューしたこの124型は「消耗部品をちゃんと交換していけば新車同然の状態で長く使える」と言われた名車で、それを検証すべく連載スタート。購入時の走行距離が3万4000㎞だった44号車は、12年後の2019年に走行距離30万キロを突破し、いまだ現役です。
(ENGINE2011年1月号)
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