もはや腕時計の素材において、ひとつのカテゴリーを確立した感のあるブロンズ(銅)。多くの時計ブランドが耐傷性や強度、軽さを追求した素材を開発して新作に採用する一方で、このどこか懐かしい素材が一過性のトレンドではなく注目を集め続けるのは、腕時計が機能性だけを追求したものではない嗜好品である証といっても過言ではないだろう。
ブロンズ・ウォッチのブームの立役者とも言えるオリス。素材の魅力を知り尽くしているだけに毎年意欲的にブロンズを採用したモデルを発表しているが、最新作はケース、ベゼルはもちろん、プッシャーやブレスレットまで全てブロンズ! ありそうでなかった新たなアプローチが新鮮だ。
モンブランもブロンズをいち早く採り入れた先駆者的な存在だ。なかでも山岳探検のスピリットを反映した「1858ライン」は、ブロンズをモデルごとに採用する箇所を変えることで、それぞれの個性をより味わい深いものに仕上げている。そして、インデックスや針においても日焼けした風合いにすることでヴィンテージ感を強調しているのも大きな魅力だ。
ラドーの「キャプテン クック」は、ベゼルとダイアルのグリーンがブロンズケースによる絶妙な配色に目を奪われる。1962年のオリジナルを再現したデザインとの組み合わせの雰囲気をさらに肉厚なストラップが盛り上げている。
文=前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE WEBオリジナル)
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